「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が26日、都内のホテルで開催され、広陵・中村奨成捕手(3年)が広島と中日の2球団競合の末、ドラフト1位で地元広島に指名された。

 前日25日夜に丸刈りにし、指名を待った。だが、中日が指名しても、広島が指名しても、表情を変えなかった。1回目の入札での1位重複は高校生捕手としては史上初。「最後はカープが(抽選で)選んでくれると思っていた」と予感した。広島が交渉権を獲得した瞬間も、わずかに頬を緩める程度で表情を崩さなかった。「にやけたかったですけど、にやけて満足していると思われたくなかった」。夢は終わりではなく、スタートだ。

 超高校級捕手は早くも「新人王」と「トリプルスリー」を目標に掲げる。「1年目からレギュラーは無理でも試合に出て、新人王を狙いたい。(報道陣にトリプルスリーと聞かれ)取りたいです。一番は守備に自信があるのですが、走ることも盗塁に自信を持っている」。甲子園で1大会個人最多記録を塗り替える6本塁打を放ったが、プロでも捕手で史上初の領域を目指すつもりだ。

 地元球団であり、自ら求めた「一番厳しく指導してくれる球団」に合致する。交渉権を引き当てた緒方監督も「うちにぴったり」と喜んだ。2軍寮から徒歩圏内の実家で育ったカープっ子と、相思相愛の広島は赤い糸で結ばれていたのかもしれない。【前原淳】