虎のドラ5は驚異のタフネス右腕だった。阪神ドラフト5位で指名された九州三菱自動車・谷川昌希投手(25)が1日、福岡市内の同社で行われた指名あいさつを受け、同僚になる藤川との「鉄腕競演」を熱望した。谷川は9月の社会人日本選手権九州予選で3完投を含む5連投を経験。九州代表を惜しくも逃したが、5日で計33イニングを投げた。憧れの藤川は07年にリーグ最多タイの10連投を記録。そんな大先輩とのタフ腕リレーを1年目から目指す。

 

 これが5日間連続で計33イニングを投げた鉄腕なのか。プロ野球選手としては決して大きくない175センチ、81キロの体をスーツに包み、ドラフト5位の谷川が阪神スカウトの指名あいさつを受けた。

 9月の社会人日本選手権九州予選で、新日鉄住金大分戦の完封勝利を皮切りに、5日連続で登板。3完投を含む計33イニングを投げた。九州三菱自動車の比嘉康哲監督は「信頼できる投手だから」とマウンドへ送り続け、谷川も毎回決まって「いけます」と比嘉監督に直訴した。あと1勝で全国大会というところで敗れはしたが、この投球が評価されて社会人日本代表に選出され、BFAアジア選手権の胴上げ投手にもなった。

 球団も鉄腕ぶりを評価し、リリーフでの起用を想定している。田中秀太スカウトは「タフな子だね。中継ぎがいいかなと思う。理想は久保田になってほしい。久保田は90試合(投げた)でしょ。それだけの体力は持っている。近づいてくれたら」と目を細めた。

 そんな鉄腕は、阪神で同僚になる藤川に憧れている。藤川は07年8月から9月にかけてリーグ最多タイの10連投を記録し、チームの10連勝に貢献した経験もある。谷川は「ずっと後ろで投げていてどういう気持ちで入っているのか。あれだけ投げられているので、投球を楽しんでいる印象があります。勉強させてもらいたいと思います」と弟子入りを志願。1軍でのタフネス競演を熱望した。

 両親への恩返しに、社会人でお世話になった三菱製の車を考えている右腕は「活躍して3年後くらいに」と笑顔で話した。親からもらった投げても投げてもヘコたれない強い体を武器に、プロに殴り込む。【山川智之】

 ◆谷川昌希(たにがわ・まさき)1992年(平4)10月6日、福岡県八女市生まれ。北山小1年から「北山カージナルス」で軟式野球を始め、小5から投手。筑南中では硬式「八女スカイホーク」でプレー。筑陽学園を経て東農大へ。九州三菱自動車では1年目から都市対抗で登板。今年10月のBFAアジア選手権で社会人日本代表に選ばれ、胴上げ投手になった。家族は両親と兄。175センチ、81キロ。右投げ右打ち。