堅守&強打が逆襲への第1歩!! 阪神北條史也内野手(23)が安芸で汚名返上に燃える。3日、心境を激白。巻き返しを期して守備力アップをキャンプの重要テーマに掲げた。今季は遊撃レギュラーの最右翼に挙げられながら、期待に応えられず。勝負の厳しさを痛感したのは9月6日広島戦(マツダスタジアム)だ。自らの送球ミスが引き金になって逆転負け。悪夢をバネに巻き返しを図る。【取材・構成=酒井俊作】

 今季、レギュラー奪取に失敗した北條が安芸で出直す。不動の遊撃手だった鳥谷の三塁コンバートを断行したほど期待されたが、地位を確立できなかった。今秋は課題が山積みだ。心境には、危機感がにじむ。

 北條 もちろん、打撃も大事ですが、守備をしっかりしないといけない。今年2回目に登録抹消されたのは守備のミスでした。

 ブレークした昨季から一転して今季は83試合出場にとどまり、打率2割1分だった。打撃不振が精彩を欠いた最大の要因だが、あえて「堅守」を口にするのは理由がある。勝負の厳しさを突きつけられたからだ。

 北條 あれで終わりましたから。地面が硬いのは分かっていました。送球のとき(右腕が)体から離れてしまったので…。

 逆転優勝に望みをつないだ9月6日広島戦。3-0でリードの8回1死三塁。丸のゴロが高くはずむ。後ろに下がって捕ったが一塁送球は高くそれてセーフ。1点失うのは仕方ないが、内野安打の走者が残り、その回同点とされた。際どいタイミングだが、キッチリ投げていれば2死走者なし。勝敗の分岐点になった。

 「送球をやってこい」

 試合後、首脳陣に言われた言葉だ。翌7日に2軍降格。その後は1軍に呼ばれず、シーズンを終えた。代わりにチャンスを与えられた植田らが存在感を示し、痛恨のスローになった。前日2日のキャンプ初日。個別練習はライバルの植田、糸原と特守に励んだ。この日は特打を実施。打撃もまた、重要なテーマになる。

 北條 オープン戦の途中からおかしくなって、修正できなかった。左肩が早く開いて(右半身も)突っ込んでしまう状態でした。

 昨季は間合いを計る際、右膝でグッと踏ん張って、力を伝えていた。今年は違う。あっけなく浮いたようになり、ミスショットが増えた。「練習でできても試合になるとタイミングが取れず、差し込まれましたから。守備は下半身の粘りが重要で、打撃にも言えること」。初日の練習後、近くにいたライバルを見てボソッと言う。「ショートは3人いるので」。対抗心を隠そうとしなかった。こうも話す。「(植田)海には足がある。僕にはそれがないので」。強打と堅守こそライバルと戦う命綱になる。