父譲りのオールラウンドプレーヤーになる。巨人からドラフト6位で指名されたJX-ENEOS・若林晃弘内野手(24)が7日、都内の同社で指名あいさつを受けた。父憲一さん(64)は72~81年まで大洋でプレー。父同様の両打ちと内外野どこでも守れる器用さを武器に開幕1軍を狙う。

 幼少期からプロを意識した。野球を始めた小1の時は右打ちだけだったが、小2から早くも左打ちを練習。父憲一さんも右打ちだったが、右手のケガでプロ9年目から当時2軍監督の須藤豊氏の助言で両打ちになった経験があり「上でやるために可能性を広げさせたかった」と息子の力を引き出した。法大での全4本塁打は右打ち、今夏の都市対抗では三菱日立パワーシステムズの補強選手として3試合出場し左打席で2本塁打。井上チーフスカウトも「穴が少なく、長打も打てる」と左右遜色ないスイングを評価した。

 守備も多彩だ。大学3年秋から主に二塁手を務めるが「いけと言われたら内外野どこでもやります」。桐蔭学園には投手で入学し、捕手以外は経験済み。両打ちに加え、7ポジション守れる“9刀流”で、わずかなチャンスも逃さない。

 金言を胸に挑む。「逆らえない存在」という父から指名後「プロは厳しい世界。覚悟を決めてやれ。生半可な気持ちで活躍できる場所じゃない」と厳しい言葉で激励された。目標の選手像は同じ両打ちで内外野を守る楽天松井稼頭央。精悍(せいかん)な顔を持つイケメンは「やるからには一流を目指します」と力強く宣言した。【桑原幹久】

 ◆若林の守備歴 野球を始めた小1から中2までは主に遊撃手、中3から投手を始めた。桐蔭学園には投手として入学し、1年秋からは外野手、3年夏は遊撃手としてレギュラー。法大では1年春から外野手でリーグ戦出場。3年秋から二塁手を始め、4年秋に二塁手でベストナイン。JX-ENEOSでは二塁手と三塁手、今年10月のアジア選手権では一塁手も務めた。

 ◆若林憲一(わかばやし・けんいち)1953年(昭28)5月3日生まれ、山梨県出身。甲府商から71年ドラフト6位で大洋(現DeNA)入団。3年目の74年に遊撃手から外野手へ転向。77年に1軍初出場し、主に代走守備要員として活躍。81年には選手兼任2軍コーチを務め、同年引退。通算163試合、10安打、打率1割9分6厘、1本塁打、6盗塁。右投げ両打ち。