日本野球機構(NPB)と米大リーグ機構(MLB)が行っているポスティングシステムに関する改定交渉が、今オフは現行制度を維持することで大筋合意したと、AP通信が8日(日本時間9日)報じた。同システムを利用してメジャー移籍を目指す日本ハム大谷翔平投手(23)にとって大きな前進となり、いよいよ争奪戦がスタートする。

 Q.ポスティングシステムって何?

 A.海外FA権を持っていない選手が、MLBに移籍できる制度だよ。1998年12月に「日米選手契約に関する協定」が承認されて、ポスティングシステムの導入が決まったんだ。翌年2月に、広島ケサダが第1号で移籍したんだ。

 Q.大谷も海外FAを持っていないの?

 A.海外FAは最短9シーズンが必要。大谷は今季5年目。まだまだ先なんだ。マー君は楽天7年目を終えて移籍したね。球団にしてみれば、単に譲渡金が目当てではなく、貢献してくれた選手の希望をくむ意味でも、海外FAの取れる数年前にポスティングを認める例が出ているね。

 Q.イチローや松坂もポスティング?

 A.そうだね。イチローは00年。15球団が入札したといわれている。約14億円でマリナーズが落札したんだ。松坂やダルビッシュは5000万ドル(現レートで約55億円)以上と高額だった。入札金高騰を嫌がったMLB側が改正を求めたことから、13年12月に現行制度に変わったよ。前の制度は入札金の上限はなく、交渉は最高入札額の1球団だったけど、現行制度では、日本球団が譲渡金(上限2000万ドル=約22億円)を設定して、その額を支払う意思があるすべての米球団が、選手と30日間交渉できることになったんだ。その直後にマー君がヤンキースに移籍したよ。

 Q.来年はどうなるの?

 A.今オフは現行制度が据え置きだよ。新制度の適用は来年から。新制度は、大リーグ球団が日本球団に支払う譲渡金の上限が2000万ドルではなく、大リーグ球団と選手が結ぶ契約総額の15%になる案が提示されていた。これが採用される見込みだね。