逆襲のノロシは上げられなかった。高知・安芸キャンプ2度目の紅白戦が9日行われ、今季不振に終わった藤浪晋太郎投手(23)と岩貞祐太投手(26)が先発した。藤浪は制球重視の投球だったが球威を欠き、中谷と陽川に連続弾を浴びるなど3回4失点。岩貞は3回を無失点に抑えたが制球、球威を欠く内容だった。両投手の巻き返しを期待していた金本知憲監督(49)も渋い表情。先発陣の立て直しは時間がかかりそうだ。

 

 先発陣の立て直しに不安を残した。来季のローテーション候補に挙がる藤浪、岩貞、小野の3投手が紅白戦に登板。試合後に感想を求められると、金本監督の表情は渋かった。「どうやろな…。いま追い込んで、体も疲れもピークという見方もある。でも野手も振り込んでいるわけだから、疲れもピークで一緒だから」。強化ランニングや投げ込みで万全の状態ではない。しかしそれは野手も同じ。その中でいかに結果を残すか。指揮官を満足させる投球には遠かった。

 紅組で先発した藤浪は制球面を課題にしたマウンドだった。力を抜き、バランスを重視した投球となったが、その分、球威を欠いた。2回に陽川、板山、坂本に3安打を浴びた。3回には中谷、陽川に連続被弾。直球は最速153キロを計測したが、力で圧倒する姿は見られなかった。3回4失点で1四球。「彼の課題はコントロールだから。そこは克服してきているのかな。抜け球さえなければ、抑える力は持っているから」。指揮官は課題克服に向かう右腕に一定の評価を与えた。藤浪の取り組みを理解した上で、こうも付け加えた。「でも荒々しさもほしいわね。球の勢いというかね」。

 岩貞は3回無失点ながら、制球面で不安定だった。球威もいまひとつ。金本監督は特に辛口だ。「岩貞はキツイね。スピードも出ていない。130キロ後半ぐらいか。今年、球は走っていなかった。去年のほうがキレがあったし」。キャンプの疲労蓄積を差し引いても、物足りなかった。

 V奪還の鍵として、先発陣の整備を最重要課題に挙げている。キャンプ前には、「ピッチャーは藤浪、岩貞。去年10勝を挙げて、ローテにいたピッチャーは特にやってほしい」と話していた。紅白戦は結果だけを求める場ではないが、今後につながる投球は見たい。来季逆襲の一発回答とはいかなかった。【田口真一郎】