金本阪神が若虎に地獄の追い込みをかけた。高知・安芸での秋季キャンプ第3クール最終日の14日、雨天のため室内練習場で10カ所に分かれ、打撃練習を敢行。大山や中谷ら10選手が2時間立て続けに、打ちまくった。今オフはFA補強に動かなかった「育成の虎」が猛練習でチームの底上げを目指す。

 キャンプ地の安芸は朝から雨が降り続いた。練習メニューは軽くなる…。そんな甘い考えは吹き飛ばされた。午後1時前に、室内練習場で打撃投手の防護ネットがあちこちに設置された。打撃投手が6人配置され、打撃マシンが2台、ティー打撃のスペースが2カ所。ここに大山、中谷ら指名された10人の若虎が散らばった。10カ所による打撃練習が10分×10セットで始まった。「天気が天気だから。でも秋のキャンプはあれぐらい普通でしょ? 休み前だし。意外とみんな元気やで。体力がついている」。金本監督はニヤリとした。約2時間に及ぶノンストップの打ち込みだ。

 第3クール最終日の地獄の追い込みだ。前回雨天練習を行った8日は8カ所で約80分の打撃練習だった。キャンプ終盤で、さらにボリュームアップ。疲れがピークに達した若虎たちは雄たけびを上げながら、バットを振り続けた。北條は言う。「キツかった。バテないように抜かずに打ってやろうと思った。夏場のしんどい時に(打撃が)崩されやすい。良いことがあると思う」。

 昨年はFA市場でオリックスから糸井は獲得したが、今年は補強に動かなかった。徹底的に育成し、現有戦力の底上げにこだわる。片岡ヘッド兼打撃コーチは「活気のある練習になった。しんどいと思うが、みんな強くなった」と手応えを隠さなかった。無数に転がった白球が、「育成の虎」を象徴していた。【田口真一郎】