20年東京五輪に向けて日本、韓国、台湾のプロ野球組織で創設した第1回「アジアプロ野球チャンピオンシップ」が幕を閉じた。3年後の大舞台を見据えて、24歳以下、または入団3年目以内の選手とオーバーエージ3枠でメンバーを構成。若手選手の成長をうながす点に、最も大きな比重を置いた大会だった。

 今大会のフル代表経験者は田口、山崎康、又吉の3人で、22人が初代表。選手たちはベンチの最前列に立って声をからし、稲葉監督が求めた結束力は試合ごとに高まった。台湾戦で6回12三振を奪った今永は、東京五輪の星として期待される存在へと飛躍した。

 ただ東京五輪での金メダル獲得を最大の目標に掲げる以上、今後はより五輪を想定した取り組みが必要になる。現時点で東京五輪で使用するボールは決まっていない。今大会は日本の公式球とほぼ同じ、ミズノ社製の世界野球ソフトボール連盟(WBSC)公認球を使用した。3月のWBCは日本のボールより滑りやすい大リーグ公式球を使用し、投手は制球に、打者は手元で微妙に変化するボールに苦しんだ。WBSC公認球は来年以降変更される可能性があり、「五輪のボール」をいち早く取り入れ、今後の強化試合などで使用していく必要があるだろう。

 今大会5人だったコーチは、五輪の本大会では3人になる。ブルペンにコーチは不在になり、08年の北京五輪では選手が一塁コーチを務めた。少ないサポート人数での戦いに慣れることも必要。コーチ3人制について、侍ジャパンの山中正竹強化本部長は「(19年の)プレミアはそうなるのではと思う。他の国とは事情が違う。オリンピックを見据えてになる」と見通しを示した。3年後に向けてアピールを続ける選手とともに、周囲の戦う環境づくりも必要になる。【前田祐輔】