大学球界を、剛腕ニューヒーローが席巻した。この秋、将来のドラフト候補と話題をさらったのが、今秋のリーグ優勝に導いた創価大(東京新大学)の最速154キロ右腕杉山晃基(2年=盛岡大付)だ。高校時代を東北の地で過ごした。在学中の甲子園出場はかなわなかったが、現在、大学では急成長を遂げ、エース級の存在感。もちろん、数年後のプロ入りを目指している。

 最速154キロ右腕の杉山が、明治神宮大会で高校大学通じて初の全国マウンドに立った。初戦の関大戦(関西学生)に先発。初回から150キロを計測するなど、5回1失点で全国初勝利を挙げたが不満顔だった。「投手の醍醐味(だいごみ)は球速。スピードは速い方がいい。1キロでも速い真っすぐを投げたい」。極限まで球速を追い求めるのが、“剛球王子杉山”だ。

 今秋は大車輪の活躍だった。右上手から投げ込む重い剛球に加え、スライダー、フォークを自在に操り6勝をマーク。最多勝を始め、最高殊勲選手賞、最優秀投手、最優秀防御率(1・26)、ベストナインの計5冠に輝いた。明治神宮大会出場を決める関東地区代表決定戦でも3戦連続で先発し、本大会でも8強に導いた。「リーグ戦を乗り越えたことで、精神面でも成長できた。環境が変わって、うまくはまった」と胸を張った。

 「親元を離れて寮生活がしたい」と東京から岩手の地に野球留学をした。盛岡大付で甲子園出場はならなかったが、在学中から最速146キロと、剛腕で鳴らしていた。創価大では1年春にベンチ入りし、同春のデビュー戦で最速149キロを計測。同夏のオープン戦では152キロ、1年後には154キロをたたき出した。目標は当然プロ入りだ。「上でやりたい。毎試合、最低でも150キロを投げられるように、冬は筋トレをやって160キロは投げたい」。端正な顔に、力がこもった。

 ◆杉山晃基(すぎやま・こうき)1997年(平9)6月25日、東京都葛飾区生まれ。梅田小1年で野球を始め、立石中では墨田ポニーに所属。盛岡大付では2年夏に甲子園に出場するがベンチ外。2年秋からエースとなり、3年夏は準々決勝敗退。創価大では1年春からベンチ入り。180センチ、84キロ。右投げ左打ち。家族は両親と姉。