新天地で成り上がる。西武は18日、巨人へFA移籍した野上亮磨投手(30)の人的補償として、高木勇人投手(28)の獲得を発表した。巨人から人的補償で移籍して活躍する投手といえば、広島一岡竜司投手(26)の名が挙がる。新たな働き場所をつかみ、チームのリーグ2連覇に貢献した右腕のように、高木勇も飛躍への契機とする。なお西武は、野上の年俸がBランク(外国人選手を除く年俸4位から10位)のため、人的補償に加え、野上の今季推定年俸5000万円の40%を得る。

 西武への移籍が決まった高木勇は古巣への感謝とともに、新天地へ臨む決意を示した。

 高木勇 3年間でしたが、巨人軍関係者の皆様や温かい声援を送ってくださったファンの皆様との出会いが、自分にとって大きな財産となりました。「勝ちたい」という気持ちを強く持ち、西武の優勝に少しでも貢献できるように頑張ることで、お世話になった方々やファンの皆様に恩返しをしたいと思います。

 大きな期待を背に、新たな扉を開く。鈴木球団本部長は、獲得意図について「先発ローテーションに入ってくる投手の中で一番いいと判断した」と説明。人的補償の対象選手を精査した上で「年齢的にもちょうどいい。大きな故障がなく、投球スタイルも落ち着いたものがある」と評価した。

 今季11勝を挙げた野上が抜けた来季は、菊池を柱に十亀、ウルフ、多和田、高橋光、新助っ人カスティーヨらが先発ローテ候補。高木勇には、その中に割って入り、シーズン通しての働きが求められる。同本部長は「10勝近くやってくれるだろうし、野上の穴を埋めてくれると思っている」と活躍を願った。

 飛躍への道筋を示した手本がある。13年オフに巨人から人的補償で広島へ加入した一岡だ。同じドラフト3位で即戦力右腕として入団。巨人では思うような結果を残せなかったが、新天地で一気にブレーク。中継ぎとしてリーグ連覇に欠かせない存在となった。高木勇も1年目こそ先発ローテ入りし9勝を挙げたが、以降は伸び悩んだ。3年目の今季は4月に投球を右手に受けた影響で1勝止まり。「勝ちたい」という言葉に、勝利への渇望が表れた。

 鈴木球団本部長は「(チーム内の)競争の部分でも頑張ってもらいたい」と、相乗効果による投手力底上げにも期待を寄せた。狙うは10年ぶりのリーグ優勝&日本一。高木勇は心機一転“一岡ロード”を突き進む。【佐竹実】

 ◆高木勇人(たかぎ・はやと)1989年(平元)7月13日、三重県生まれ。三重・海星-三菱重工名古屋を経て14年ドラフト3位で巨人に入団。15年は9勝をマーク。17年は年俸3700万円(推定)。178センチ、90キロ。右投げ右打ち。