オリックスを今季限りで退団した岩崎恭平内野手(31)は、社会人チームの日立製作所で現役続行することになった。プロでは中日との2球団で9年間プレーした。「楽しく野球ができたという思いがある。トレードになって、チームカラーも環境も変わったけど、いい経験をさせてもらった」。端正なマスクで東海大時代から「プリンス」と呼ばれた男は、さわやかに振りかえった。

 一番の思い出は、中日時代の13年9月23日のDeNA戦という。プロ初アーチ、初打点、初猛打賞の大暴れで勝利に貢献した。本塁打はベテラン三浦大輔から。「ちょうど家族が応援に来てて。その中で打てたので良かったです」。故郷の神奈川に錦を飾る活躍での晴れ姿だった。

 14年7月には交換トレードでオリックスへ。15年には球団通算8000号を放ったが、故障も重なり出場機会は減少。今オフに戦力外通告を受けた。

 「あきらめない気持ちをポリシーに持ち続けてきた。だから2軍暮らしでも腐ることなく、練習に打ち込んできた」

 そんな懸命な姿が、次の道につながった。各所に退団のあいさつをして回るうち、日立製作所から誘われた。「このオフに戦力外になったのは少し想定外だったけど、野球を続けられるので脱力感とかはない。今まで培ってきた技術や、全体を見る目などを次のチームに生かしたい」。来年1月から合流し、また寮生活を始める。【オリックス担当 大池和幸】

 

 ◆岩崎恭平(いわさき・きょうへい)1986年(昭61)4月4日、神奈川・厚木市生まれ。東海大相模高から東海大を経て、08年ドラフト3位で中日入団。14年7月にオリックスへトレード移籍。通算成績は144試合、打率2割3分1厘、5本塁打、10打点。178センチ、73キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸は1150万円。独身。