「ΝEW鍬原」が始動した。巨人ドラフト1位の中大・鍬原拓也投手(21)が3日、奈良・橿原市内にある橿原磯城シニアのグラウンドで、自主トレを公開した。2018年の初練習に合わせて、新練習用スパイクと新グラブを披露。約1時間、ダッシュやキャッチボールなどで汗を流し、装いも新たに、プロへの第1歩を踏み出した。

 気温3度の寒空の下、鍬原が中学時代に汗を流した思い出の地で、1歩を踏み出した。ランニングなどで体をほぐすと、ピカピカに光る黒地のスパイクと黄色のグラブを身につけ、2カ月ぶりに腕を振った。20メートルをゆっくりと58球。「今年から勝負の年。1年間を大切にやっていきたい」との言葉通り、引き締まった表情で丁寧に投げ込んだ。

 プロ1年目の初練習に、新しい練習用スパイクとグラブを準備した。ゼット社製練習用スパイクの底の歯は前部が7本、後部が3本。「母趾(ぼし)球部分の歯を増やして、軸足の蹴りを意識するために替えた」。試合用は前後とも3本歯と標準的な投手用モデル。プロの打者と渡り合うため、練習でよりボールへ力が伝わるフォームを追求する。

 表面の素材にはエナメルを選んだ。試合用のメッシュ素材と比べ、なじむまでに時間がかかるが「目標はとにかく1年間ケガをしないこと」。足への負担が少なく、耐久性の高さを重視した。細部にこだわった。

 昨春から使っていた紫のグラブは鮮やかな黄色に替えた。母が好きだった紫は「Kuwa29」の刺しゅうに残した。「前に使っていたグラブは、ケースに入れて実家に飾ります」。気分は新たにしても、女手一つで育ててくれた母への思いは変わらない。

 年始は実家でおせち料理を食べ、母校・中大が出場した箱根駅伝を観戦しながら、体を休めた。数日後には新人合同自主トレが始まる。「一日中野球ができるので、いろいろなことを試してみたい。自分のペースでやっていきたい」。1歩ずつ前へ進む。【桑原幹久】