5球団が競合し、鳴り物入りで入団したソフトバンク一昨年のドラフト1位、田中正義投手(23)が「背水の覚悟」を口にした。18日、福岡・筑後市のファーム施設で自主トレを開始。弟子入りした和田とともに約4時間の練習に汗を流し、その後も個人トレに打ち込んだ。まだ2年目だが「今年結果を出さないとホークスにはいられない」と悲壮な決意を明かした。

 田中は悔しさを胸に秘め、徹底的に体をいじめ抜く。「キャンプで結果を出すと決めて、そこから逆算して(練習を)やっています」。昨年暮れからほぼ休みなしで練習。元日も自宅近くで練習に汗を流した。156キロ右腕の触れ込みで入団したものの、1軍登板ゼロで1年目は終わった。今季にかける並々ならぬ思いを、短い言葉に込めた。

 「(昨年は)泥くさくやれていなかった。しょうもないプライドは捨ててやりたい」

 今オフ、和田に自主トレ参加を直訴。8日から早大でベテラン左腕とともに練習に励んできた。「和田さんに負けないようにやりたい。毎日、自分の限界まで追い込んでやるつもりです」。昨年の悔しさを原動力にして、背番号「25」は自らの体を突き動かしている。この日も午前の練習が終了すると、1人でネットスローを繰り返した。「5、6時間はネットスローをしますから」とサラリと言った。

 プロで生き残る道を先発1本に絞った。千賀や武田の自主トレのニュースをネットで見て、思った。「そこに割って入るのは大変ですが、自分では先発でプロでやっていきたい。ホークスでローテで投げ続けるのは大変でしょうが」。すでにブルペンには3度ほど入った。50球ほど捕手を座らせての投球も行っている。今日19日にファーム施設では初ブルペン投球の予定だ。

 「競争は厳しい。でも負けない精神と技術がないといけない。そこしか考えていません」。多くの報道陣に囲まれた昨年とは違い、誰ひとりいなくなった室内練習場で田中はひとり黙々と汗を流した。【佐竹英治】