ヤクルト山田哲人内野手(25)の打撃が復活に向かっているのは一目瞭然だ。春季キャンプ(浦添)第1クール最終日の5日、侍ジャパン稲葉篤紀監督(45)の視察を受けた。キャンプのテーマを「体の軸で打つ」と設定。トス打撃を撮影すると、体重移動の際に頭から右足へのラインが一定のままだった。2年ぶり3度目の偉業達成へ、視界良好だ。

 独楽のように、山田がクルッと回転した。室内練習場での打撃練習。左足をスッと上げ、下ろすと同時に鋭くバットを振り抜いた。「今は体の軸を意識しています。ちょっとずつ良くなっていると実感しているのでいい方向に向かっていると思います」とうなずいた。

 1枚の写真が、取り組みの成果を実証する。この日のトス打撃を、シャッタースピード1250分の1で、5コマの多重露光で撮影。今キャンプは2時間ぶっ通しの打撃練習など、連日10時間強のハードトレーニングをこなしている。体の張りや疲労は、すでにピークに近い。それでも、頭の先から右足までのラインは、体重移動の際にほぼ一定に保たれていた。「体が前に突っ込めばボールを長く見られないし間を取れない。軸にしっかりパワーを乗せて全部ボールに乗せたい。突っ込んでいないなら、いい感じだと思います」と納得の表情を浮かべた。

 昨季は内角への厳しい攻めもあり、打撃フォームが崩れた。15年から2年連続トリプルスリーを達成した当時の、頭から右足まで1本の串がささっているかのような軸回転の打撃を取り戻すのが完全復活の鍵。「シーズンに入って無意識にできるように、今、意識しないと」と原点回帰のフォームを染み込ませている。

 視察した侍ジャパン稲葉監督も「今は成長段階でもありますので、もう1度トリプルスリーを取って、ヤクルトを優勝に引っ張ってもらいたい」と復活を願った。3月のオーストラリア代表との強化試合(3日・ナゴヤドーム、4日・京セラドーム大阪)の代表候補に秋吉とともに挙がる。第1クールを「やりすぎましたね」と冗談めかしつつ「いい練習ができました」と晴れやかに言った。山田がぶれることなく、最高打者の頂に向かって再び歩きだした。【浜本卓也】