【スコッツデール(米アリゾナ州)8日(日本時間9日)=木下大輔、中島宙恵】日本ハムの「おにぎり君」こと横尾俊建(としたけ)内野手(24)が、メジャーを代表する右腕からのエールに発奮した。全体練習後にダイヤモンドバックスのエースで、メジャー通算172勝のザック・グリンキー投手(34)と対面。同投手がチーム初実戦となる10日(同11日)の韓国・KT戦も観戦すると伝え聞き、「おにぎり弾」を誓った。

 秘めた思いが、ようやく実現した。横尾が全体練習を終え、クラブハウスに戻ると、テレビでしか見たことがなかったグリンキーがキャッチボールをしていた。「投げ方を見て、後ろ姿でしたけど(グリンキーだと)分かりました」。そっと近寄って見守りながら、“突撃”するタイミングをうかがった。グリンキーが練習を終えると同時にダッシュ。足を止めると、球団関係者の通訳を介して言葉を交わすことに成功。さらに、2ショット写真も撮影。「おにぎり君」はニヤニヤが止まらなかった。

 モチベーションがグンと高まる事実も発覚した。グリンキーが10日(日本時間11日)のチーム初実戦をスタンド観戦することが判明。球団関係者から伝え聞くと、興奮度はMAXに達した。「目立つバッティングがしたいです」と予告。目立つには豪快な一振りでアーチをかけることが一番。おそらく米国では誰もやっていないだろう「おにぎりポーズ」も繰り出せば、首脳陣へのアピールはもちろん、快く突撃訪問を受け入れてくれた大投手にも最高の「恩返し」となるはずだ。

 横尾はグリンキーの存在を努力の源としてきた。15年にメジャーのオールスターで先発した試合をテレビで見て「なんだこのレベルは」と衝撃を受けたという。自身も、より上のレベルを目指そうと自慢の長打力を磨いてプロ入りを実現させた。2年目の昨季終盤にはポテンシャルの一端が開花。今季は完全ブレークへ勝負の年を迎えており、今キャンプでも「打球が良くなったと思う」と手応えもある。ここから結果でアピールしてレギュラー奪取へ、メジャー屈指の右腕との対面で注入されたパワーを、打球に乗せる。

 ◆日本ハム横尾プロ成績 ルーキーだった16年は10試合(先発3試合)で2安打0本塁打0打点、打率1割1分8厘と結果を残せなかった(2軍戦で80試合80安打15本塁打53打点、打率2割7分5厘)。2年目の昨季は8月27日楽天戦でプロ初本塁打を放つなど、50試合(先発33試合)で32安打7本塁打20打点、打率2割3分9厘とブレークした。