楽天の濃~いブルペンに潜入だ。沖縄・金武町でのキャンプ最終クール初日はブルペン最終組が引き揚げるまで2時間30分。「ストライク率8割以上」「カーブ習得」の2大テーマを設定したココロに迫った。

 「逆球も軽く投げても勘定しない。9割以上で腕を振れよ」。佐藤義則投手コーチ(63)の声が飛んだ。10球1セット、うち8球以上をストライクとするまで繰り返す。73球目から15球連続ストライクの岸も「『今から』と申告しなくちゃダメ」と例外はなかった。

 佐藤コーチ 岸なんかは本当は必要ないけど。重圧の中で狙ったところに投げられなければ、試合で話にならない。意識付け。

 フォームの再現性が高くなければ簡単ではない。200球近くを要する投手もいたが全員クリアした。

 厳しい環境の中で、ほぼ全員がカーブを投げた。佐藤コーチは「前で放せ」「ワンバウンドはダメ」と細かくチェックを入れた。18日のブルペンでは藤平にカーブを軸とした投球を命じ、途中に1球だけ直球を挟み反復させる徹底ぶりだ。

 佐藤コーチ 試合で使えるよう練習している。今は横の変化が主流で本格的にカーブを使う投手は少ない。でも今はカーブが特に有効な球種。落差と緩急が大きいカーブが苦手な強打者は結構いるとオレは思う。

 両リーグの昨季防御率ベスト5はカーブを使う投手ばかり。マイコラスは大きなカーブが目に留まり、カージナルスへ移籍したとされる。現役メジャー最高の投手とされるカーショー(ドジャース)の代名詞もカーブ。回顧でなく最先端の球種としてフォーカスされるのには理由がある。

 打撃の概念を変える「フライボール革命」に対抗する、最も有効な球種はカーブだ。「バレルゾーン」と呼ばれるホームランが出やすい30度前後の打球角度をつけるため、スイング軌道がアッパー気味になる。縦軌道のカーブなら、打撃のポイントが「点」にしかならない。打者はフライボール革命に取り組み、投手は対策に取り組む。楽天が先端を走る。【宮下敬至】

◆昨季両リーグ投手防御率5傑

<セ>

(1)菅 野(巨)1・59

(2)マイコ(巨)2・25

(3)メッセ(神)2・39

(4)野 村(広)2・78

(5)今 永(D)2・98

<パ>

(1)菊 池(西)1・97

(2)則 本(楽)2・57

(3)千 賀(ソ)2・64

(4)東 浜(ソ)2・64

(5) 岸 (楽)2・76