笑顔が戻った。巨人育成選手の高木京介投手(28)が21日、1軍の沖縄・那覇キャンプで行われたヤクルトとの練習試合に登板。1軍マウンドで864日ぶりにNPB球団と対戦した。緩急で打ち取った。7回1死走者なし、打者宮本を直球で追い込み、最後は104キロのカーブで二ゴロ。最速139キロの直球と打者のタイミングを外す投球術で1回無安打無失点。ベンチで出迎えを受け「ああいうボールを武器にして打ち取っていきたい。緊張したけど、ほっとした」と白い歯がこぼれた。

 過去から変わった姿を示した。宮崎キャンプで右足を2度上下させる2段モーションに挑戦。自身が「良かった頃」とする国学院大時代の投法に戻そうとした。しかし、12日の紅白戦で1回4安打2失点。結果が出ず「その時にあった最善のフォームを作らないといけない」と昔のフォームから決別。短期間の調整で「勢いをつけることが大事」と足の上下幅を小さくし、上げた瞬間に止める時間も短縮する投げ方に変えた。

 新しい自分へ、まずは体を変えていた。野球賭博関与に伴う1年間の失格処分後、17年3月に育成契約で再出発。1年間で減った10キロの体重を戻すため、高校生のように1日丼3杯の白米を食べた。「体を作った。筋肉量もプラスにしないといけない」と86キロまで戻し、球威を取り戻した。

 目指すは2桁背番号の奪還だ。チームでは中継ぎの池田が3軍調整と左腕不足。高木が支配下登録を勝ち取る好機は十分にある。「1試合1試合勝負できれば、おのずと結果はついてくる」と意気込む。過去からの再出発へ、信頼と信用を取り戻す。【島根純】