開幕投手へ1歩前進。広島野村祐輔投手(28)が23日、フリー打撃に登板した。鈴木と西川、メヒアの3選手と13打席対戦し、安打性は3本に抑えた。調整を一任された今キャンプ最後の打者を相手にした投球で結果とともに内容でも示した。首脳陣からの期待に応える調整で、初の大役へまた1歩近づいた。

 今キャンプでの最終確認だった。野村は鈴木、西川、メヒアの3選手を相手に、フリー打撃に登板した。実戦を想定して3打席に14球、4打席に19球、6打席で12球と分けて投げた。インターバルを置いて3イニングを想定した中で、安打性の当たりは3本。特に感覚が戻った3イニング目は、球の切れや精度も上がった。

 「疲労がたまっている中でバランスも悪くなかった。修正できる範囲で問題はなかった。今日は力まないことを一番意識して投げて、それができた。順調かな、という感じです」

 プロ入り初めて実戦マウンドに上がることなく、春季キャンプを打ち上げる。故障でも出遅れでもない。首脳陣との話し合いで、中継ぎの中崎と今村とともに、2月中の実戦登板を回避した。今日24日のオープン戦は薮田、25日は大瀬良の先発が予想され、先発候補で実戦登板がないのは野村ただ1人。ベテランに与えられるようなマイペース調整と言われるものではない。「今年は例年以上に体をいじめている」。調整ではなく、鍛錬に重きを置く。ブルペン投球の球数を増やし、走る量やウエートトレーニングの負荷を上げた。

 昨年12月の時点ですでに調整を一任されていた。任されたからには責任も伴う。「その期待に応えられるようにではなく、それ以上に応えられるにようにしたい」。首脳陣の方針の意味や重みは理解している。初実戦は来週末の西武2連戦のいずれかが濃厚だ。

 先発陣で唯一特権を与えられた右腕が開幕投手の最有力候補と言える。ほかの開幕投手候補の薮田ら長いイニングを投げられる投手を週の頭に起用する案もある。野村はオフから大役に対して「勝ち取れれば」と意欲を示していた。その目標へ向けた歩みは着実に前へ、前へと進んでいる。【前原淳】