ニュー大地だ! 広島大瀬良大地投手(26)が25日、巨人とのオープン戦(沖縄セルラースタジアム那覇)に先発し、1回2/3を投げて坂本勇、阿部らから3三振を奪う力投を見せた。ソロ本塁打を浴びて1点を失ったものの、捕手や緒方監督らも認める球威で好スタートを切った。試合は雨のため2回裏2死でノーゲームとなった。

 2回。先頭の阿部に2ボールとした大瀬良は、力勝負に出た。147キロで2-1とすると、147キロでファウル。さらに3球続けた149キロの直球でバットを押し込みファウル、最後は141キロのカットボールで空を切らせた。

 1回は先頭坂本勇、2番吉川尚を2者連続で3球三振に切る滑り出しを見せた。ゲレーロに精度を欠いたカットボールを左翼席に運ばれたものの、降雨ノーゲームとなった2回途中まで奪った三振は3つ。1試合16奪三振ペースの投球だった。「良い悪いはあったけど、真っすぐで押せたかなと思うので良かった」。ニュー大瀬良を印象づけた。

 オフに左手を上げながら引き込むフォームに修正した。狙いは球威回復にあった。キャンプ序盤のブルペン投球から球質の変化を認める声が多かった。今年初のオープン戦登板で好感触は好結果となって表れた。周囲の期待は膨らむばかり。バッテリーを組んだ会沢が「真っすぐは良かった」と認めれば、緒方監督も「今年は球に力がある。かなり期待している」とうなった。

 上々のスタートにも、本人は冷静に自己分析する。「カットボールが大きく膨らんだり、真ん中に入ってしまったところは課題」。球数が24球で終わったことに加え、制球面と変化球の精度を確認するためブルペンで21球投げた。「いいものも出たけど、課題も出た。持ち帰ってもっと意識していきたい」。さらなる高みを目指し、前を向いた。

 入団時から次期エースとして期待されていた。だが、昨年の2桁勝利は3年ぶり。先発として確固たる地位を築くためにも今年は大事な1年となる。「先発である以上、エースと呼ばれるような立場になりたいと思うもの。ただ、それは周りが決めることなので、自分は自分のことをしっかりやっていくしかない」。自信と確信、そして信頼を深める戦いは続いていく。【前原淳】