目の前にあるチャンスをひと振りでつかんだ。巨人ドラフト3位の大城卓三捕手(25=NTT西日本)が、オリックスとのオープン戦で決勝適時打を放った。7回から代打で途中出場。2打席目は同点の8回1死一、二塁に回ってきた。2球を見逃し、カウント1-1からの外角へ沈む131キロのフォークに崩されかけながらバットを合わせた。打球は左前に落ち、勝ち越しの走者が生還。「なんとかランナーをかえそうと思った。反応で打ちました」と夢中で結果を呼び込んだ。

 「目」が勝負強さを裏付ける。1月の新人合同自主トレ中に行われた動体視力などを測定する「ビジョントレーニング」では、ドラフト7位の村上海斗外野手(22=奈良学園大)と並びトップのスコアを記録。並外れた動体視力を生かした選球眼で、無駄なボール球には手を出さない。全7打席で11スイング、空振りは4。少ないスイング数でも「自分のスイングをすれば捉えられる」と打てるゾーンまで好球を待ち続ける。

 この日を含めオープン戦5試合に出場し、プロ初本塁打を放つなど7打数4安打2打点。打率5割7分1厘とアピールを重ねるルーキーの活躍に、高橋監督も「振る力がある。芯に当たれば素晴らしい打球も出ると思う」と一目を置いた。

 2日に1軍へ合流し、捕手登録だが、一塁手の練習も並行している。捕手には小林、一塁には阿部、岡本が立ちはだかり、これまで出番は全て途中出場。それでも「しっかりと準備をしています」とベンチで牙を研ぎ、少ない打席をものにしてきた。開幕1軍生き残りへ、ひと振りも無駄にはしない。【桑原幹久】