最後のワンピースは高山だ! 阪神高山俊外野手(24)が16日、楽天戦(静岡)に3番中堅で出場し、1号2ランを含む2安打2打点で20安打12得点の大勝を導いた。金本知憲監督(49)は開幕中堅について、「高山は近づいているわね」と評価。5試合連続安打で上り調子の16年新人王を最有力に挙げた。唯一不透明だった中堅に一定のメドが立ち、30日の開幕巨人戦(東京ドーム)に臨む布陣が色濃く見えてきた。

 黒バットでバチッとコンタクトした打球は、右翼席中段に着弾した。勢いよく駆けだした高山もスタンドインを確認すると、ゆったりベースを回った。大量9点リードの7回2死二塁。楽天宋家豪の内角球を捉えた打球はグングン伸び、18年実戦1号となるダメ押し2ランが飛び出した。

 20安打12得点の大勝を導くとともに、開幕中堅もグッと引き寄せた。昨季チーム最多20本塁打の中谷や、小技もできる俊介らがライバルだが、5試合連続安打で打率も2割7分5厘に上昇。金本監督は「高山は近づいているわね。今の状態やったら」と中堅の有力候補と明かした。昨季は2軍落ちも味わい、今年オープン戦も序盤は低調発進。だが「一生懸命やるしかない」と意気込む16年の新人王が、開幕を逆算したかのように状態を上げてきた。

 金本監督は期待値の高い背番号9に明確な数字も求めた。「3割2分~3割3分で15本くらい。『30本打て』と言っているわけじゃないんだから」。開幕スタメンを奪えば7番が濃厚。期待通りに3割2分~3割3分を打てば、前を打つ福留やロサリオ、糸井、大山らで得点、チャンスメークした打線をさらにパワーアップできる。

 “禁破りの1発”でもあった。金本監督は、4日のソフトバンク戦から「彼は絶対に(本塁打を)狙ってはいけない。あくまでクリーンヒットで」と長打狙い禁止令を発令。力んでいた悪癖を直すことが目的だった。ではこの日の1発はカミナリもの? だが金本監督は16年に8発をマークしたパンチ力を引き合いに「いいポイントでヘッドに乗れば、持っていく力は持っている」と、力まず打てた産物と評価。その上で「(本塁打を)打とうとするとダメだね、彼は。ヒット狙いを続けてほしい」と長打狙い禁止令の継続を言い渡した。

 不透明だった中堅が固まれば、巨人菅野を迎え撃つ3月30日開幕戦の布陣が色濃く見えてくる。先発はメッセンジャーで捕手は梅野の見込み。一塁ロサリオ、二塁鳥谷、三塁大山、遊撃糸原、左翼福留、右翼糸井が濃厚だ。オープン戦は残り7試合。本番モードに入る今日17日の中日戦から総仕上げに入る。【真柴健】