日本ハム大田泰示外野手(27)が、開幕スタメンをアピールする1発を放った。ヤクルトとのオープン戦(札幌ドーム)に「3番中堅」で先発。初回第1打席に中越えへ先制ソロを放ち、6回にも中前にはじき返すなど2安打1打点と結果を残した。移籍1年目の昨季は、キャンプ終盤に左脇腹を痛め、開幕1軍はかなわなかった。今季は激しい外野の定位置争いを勝ち抜き、スタートダッシュを狙う。

 狙いを研ぎ澄まし、最高の形で結実させた。1回2死、走者なし。本拠地スタンドに突き刺した会心の打球を、大田は貫禄十分に見届けた。「良い打者は一発で仕留める。自分でもしっくりくるものがあった」。見極めた2球目の133キロシュートを、迷わずフルスイング。オープン戦1号に「フルスイングの中で、捉える率を高めていくのが自分の中でのテーマ。ここにきて良い形になってきた」と、自信を深める1発になった。

 苦い経験を乗り越えた。今年2月の米アリゾナキャンプで体の張りを訴え、予定されていた今季初実戦を回避した。沖縄での2次キャンプは2軍に合流。守備やティー打撃をこなせるまで回復しても、首脳陣の配慮でスロー調整に専念した。実戦初打席は3月3日ロッテ戦まで遅れたが「少し早い春休みをもらったよ」と、心身ともにリフレッシュに成功。シーズンインに照準を定め、スローペースに専念した。

 日本ハム移籍1年目の昨季は、キャンプ終盤に左脇腹を痛めた。3月上旬のオープン戦で実戦復帰も、スイングした際に再発。開幕1軍から外れた。期待された新天地での、ふがいないスタート。そこで得た教訓が「ケガなくしっかり準備して、慎重になりながらやっていきたい」というものだった。今オフのサイパンでの自主トレでも、細心の注意を払いながらバットを振り込んだ。栗山監督は「(先制本塁打は)久しぶりにタイシらしい。いろんな思いはあると思うけど、誰が試合に出るかは自分で取るしかない」と、期待を込めた。

 外野の定位置争いは、例年以上に激化している。「中堅・西川」はほぼ確実だが、右翼、左翼は混戦模様。メジャー通算44発の新助っ人アルシアや、侍ジャパンで存在感を見せた松本、岡や浅間がいる。昨季4割の近藤も加わる可能性がある。大田は開幕スタメンについて「出られたらうれしいですけど…」と控えめだったが「シーズンが始まる前に、良いアピールが出来た」と手応えをかみしめていた。【田中彩友美】