落球敗戦の悔しさをバットで取り返した。横浜の夜は阪神高山の反骨心が光った。1点リードの5回2死走者なし。DeNA飯塚にわずか2球で追い込まれたが、3度、ファウルでカット。8球目だ。3連投の外角フォークをとらえるとライナーで右翼線へ。二塁打で出塁。直後に鳥谷の加点適時打を呼び込む、貴重なロングヒットになった。

 高山は「ファウル、ファウルで粘って、最後の甘い球を打てて良かった」と話す。1回もフォークを左前に運ぶなど、今季2度目のマルチ安打だ。1日巨人戦(東京ドーム)の中堅守備で落球し、逆転負けの引き金になっていた。金本監督は「自分の範囲のノーバウンド、捕らないと」と怒った。前日3日も「打つ方で2試合くらいかえしてもらわんと。クリーンヒットで塁に出たり、ランナーをかえしてくれたらいい」と注文。意地で指令に応えた。

 昨秋キャンプから、上体と下半身が連動する打撃を追い求めてきた。「どうしてもバットが下からもぐるので」。本番まで試行錯誤し、先発全3試合で安打。開幕スタメン野手で唯一、三振がなく幸先のいい滑り出しだ。指揮官は「まだ、足りませんよ。もっともっといってもらわないと」と冗談を飛ばす。やられたらやり返す。反発する心の強さが表れた。【酒井俊作】