DeNAのドラフト1位東克樹投手(22)が初本拠地初勝利を飾った。8回まで毎回先頭を封じ、7回1/3を投げて4安打無失点の快投を本拠地で披露した。プロ初勝利を挙げた前回登板に続いて、巨人戦で2連勝。2リーグ制以降、巨人相手に初勝利から2連勝は史上6人目の快挙となった。無失点リレーでチームは5-0の快勝を収めた。

 未知の領域に入っても、ルーキー左腕は腕を振り続けた。東は8回、先頭長野を遊ゴロに仕留めた。これで毎回の先頭封じ。3度目の登板で、プロ入り初めての100球を超えた。「先頭を抑えれば、得点率も減る。相手の攻撃パターンも変わってくる。攻撃の芽を摘むことができた」。だからこそたどり着いた8回だった。1死一、二塁の場面まで、巨人の打者27人を相手に投げた113球。難敵から2試合連続で白星を奪った。

 さえ渡るチェンジアップ。3回2死で打席には坂本勇。2-2から空振り三振を奪い「腕を振れば、坂本さんからも、ああやって三振をとれることが分かった」。スライダーと変わらぬ軌道と球速から、手もとで変わる球筋。最速148キロの直球と緩急をつけた。本拠地初勝利で、人生初のお立ち台に上がり「本拠地でやることが、こんなにすごいことだと分かりました!」と、大声援を身長170センチの体で受け止めた。

 巨人相手に初勝利から2連勝は2リーグ制後6人目の快挙だった。「イメージ通り投げることができた。カウントをとりにいくのではなくて腕を振った。じゃないと、プロでは見極められてしまうから」。もう大学生ではない。プロの顔で言った。

 夜、寝る前に頭の中ではマウンドをイメージしながら眠りにつく。首もとには必ずネックウオーマーを巻くようにしている。開幕直前の3月に、寝違えて「寝ながらなので、どうしようもない部分があるんだけど」と、首を温める予防策。数万円の高級枕の上にタオルを敷き、夜中に起きて高さを調節する。そして左手には公式球。「いろんな握りを確認してます」と、まさに24時間、野球漬けの毎日を過ごしている。

 1週間前の初勝利は0点と自己採点したが、この日ばかりは「今日は90点」と高得点を自分につけた。残り10点は届かなかった9回のマウンド。「あそこで(継投で)つながれるのではなくて、ゲッツーで抑えて、最後までいきたかった」。奪えなかったアウト5個分だけ、伸びしろがあるということ。東の限界値は、まだまだ増していく。【栗田成芳】