祝砲が勝負どころで打ち上がった。日本ハム中田翔内野手が、29歳の誕生日に自ら豪快に打ち上げた。5回1死一、二塁。やや内寄り、高めの真っすぐに反応。打球は左翼席へ大きな弧を描いた。試合を決定づけた6号3ランは1軍では3年ぶり、昨季は2軍戦で放ったバースデーアーチに「完璧だったね」。初回には先制犠飛、3回には適時二塁打。自己最多タイの1試合5打点で節目を彩った。

 お立ち台では、うれしいサプライズが待っていた。ケーキを持って登場した西川から「頼れるキャプテン。誕生日おめでとうございます!」と、スプーンですくったケーキをアーンとされてパクリ。中田は「顔に(ケーキが)来るなと覚悟していた。優しかったですね。29にもなって、こんなにいろんな方にお祝いしてもらえて幸せ」と、最高の1日を振り返った。

 14日の試合前、川名外野守備走塁コーチに「いないなら、僕やりますよ」と、左翼守備の練習を買って出た。その時点で外野登録選手が1軍に3人。チーム状況を見て志願すると、15日に4年ぶりに左翼守備に就いた。久しぶりに左翼から見た景色は「気持ちよかった」。あらためて野球の楽しさを感じた。その日から連日、試合前練習では左翼でノックを受けるのがルーティン。好結果も伴い、練習の笑顔も増えた。

 20代ラストイヤーの幕を華々しく開けた。「29歳も30歳も一緒やからな。着々と年を取っているな」。ぶっきらぼうに話したが、頼もしい。4番の仕事を果たした主将の大活躍で、チームは今季初の2桁得点で4カードぶりの勝ち越し。貯金を再び1とした。【木下大輔】