中日松坂大輔投手(37)が、06年西武時代以来、12年ぶりに日本で勝利をつかんだ。ナゴヤドームでのDeNA戦に移籍後3度目の先発。6回を3安打1失点にまとめ、日米通算165勝目を挙げた。

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 横浜高校の恩師・渡辺元智前監督(73)は試合後、松坂がスタンドにボールを投げ入れる姿をビデオで見ていた。「お客さんがいつまでも帰らないでいてくれた。松坂は幸せ者です」。6回114球の熱投には理屈以上のものを感じた。「正直、いつ崩れてもおかしくなかった。それでも勝ってしまう。まさに刹那的。往年の力はなくても経験が、気持ちが体に染み込んでいる。だれにでもできることではないです」。松坂の栄光や苦労、たどってきた道のりが浮かび上がるようだった。

 復活Vを願う試合は、終始うれしい悩みが並行した。「松坂が筒香から三振を取って、筒香も松坂から本塁打を打ってとかね。でも今日は松坂に勝たせてやれたら…そんな思いもありました。(中日)福田の一打も大きかった。教え子は私の財産、宝物です」と教え子たちに感謝した。

 4月19日の阪神戦後、松坂にメールを送った。返信は「なかなか勝つことは難しいです。次にまた挑戦して頑張ります」。努力と執念で約束を果たしてくれた。

 初勝利を見届けた後、祝福の言葉を送った。

 -復帰後、初勝利おめでとう。日本の野球ファンに夢と感動を再び与えてくれた。松坂にとってもいろんな思い、苦しい思いもあっただろう。しかし、感慨深いものがあったのではないかと思う。いずれにしても、おめでとう-

 「今日は方々の連絡に忙しいと思うから、私はメールで。声を聞くのはまた今度でいいんです」。見守り続ける恩師にとっても幸せな1勝だった。【和田美保】