野村が帰ってくる! 広島野村祐輔投手(28)が10日、ウエスタン・リーグ中日戦(由宇)に先発した。背中の筋挫傷からの復帰後初登板。直球を中心に4回75球を投げ、6安打2失点。4回の打席で右腕に死球を受けるアクシデントから降板したものの、大事には至らなかった。新井貴浩内野手(41)は今日11日にも1軍に昇格するが、先発の柱と期待される右腕も来週には1軍に復帰できそうだ。

 2軍のマウンドで結果を求めた投球ではなく、1軍復帰後に勝つための投球を選んだ。2軍マウンドに上がった野村は、決め球のスライダーやカットボールを封印。直球を中心に内外角への投げ分けに徹した。

 「今日は配球とかではなく、基本真っすぐで勝負しにいった。真っすぐをちゃんと投げられないと変化球も悪くなってくる」

 4月26日DeNA戦(横浜)で背中の張りを訴え、戦列を離れた。リハビリを経て、5日に投球練習を再開。この日、1軍復帰を視野にウエスタン・リーグ中日戦に先発した。4月20日の対戦で3打数2安打と打たれた中日モヤと再戦した2回は内角を徹底的に攻めた。3球続けてやや内寄りに外れて3ボールとなるも、ブレない。3-1から最後も内角直球で詰まらせた(結果は二ゴロ)。右打者の外角、左打者の内角は、野村の投球にとっては生命線。結果ではなく、投げ分ける感覚を追求した。「ラインが外れていることもあった」としながらも「あとは微調整」と手応え十分な登板となった。

 ただ、思わぬ形で降板となった。4回の打席で中日佐藤の直球が右腕を直撃。思わずうずくまり、そのまま退いた。当初90球を予定していた球数は75球で終えた。それでも「2、3日で良くなると思う。すぐに上がれる準備はできている」と軽傷を強調。1軍復帰へ意欲を示した。視察した畝投手コーチは「問題なければ、次は上に(1軍)になるかもしれない」と明かした。

 赤く腫れていた患部は試合後には赤みが引いた。「迷惑をかけているので、1日でも早く戻れるようにと思っている」。順調に痛みも引けば、17日中日戦(ナゴヤドーム)での先発が濃厚だ。初めて開幕投手を任された今季。ここまで2勝1敗、防御率5・59は先発の柱としては物足りない。リスタートの野村が捲土(けんど)重来を期す。【前原淳】