ドラフト候補の法大・中山翔太内野手(4年=履正社)が、リーグ史上8人目となるサイクル安打を達成した。持ち前のパワーを存分に発揮し、4安打6打点。大活躍の「4番」に導かれ、チームは東大に17-1で大勝し、今季初勝利を挙げた。立大はエース田中誠也投手(3年=大阪桐蔭)が5勝目を挙げ、明大を4-3で退けた。

 ベンチプレス140キロを誇る中山らしい決め方だった。サイクル安打達成へ、残るは本塁打だけだった。7回2死二塁でその時がきた。131キロ直球を引っ張り左翼スタンドへ運んだ。推定130メートル弾は昨秋10月以来の本塁打となる、現役トップの通算8号。「期待されているのは分かっていたから早く1本打ちたかった。でも、記録のことは何も知らなかった」と照れくさそうにした。

 チームの今季初勝利に向けて無我夢中だった。初回、2死二塁でチェンジアップを捉えて右翼線にポトリと落とした。「ラッキーだった」と振り返る先制の適時三塁打が記録の始まり。今季初打点を挙げると、4安打すべてに打点がつき6打点を稼いだ。リーグ戦が1週空いた間に、打席で反る癖を修正。強くたたくことを意識し「これが本来の形」と内容に満足した。

 サイクル安打達成で岡田彰布(早大)らの仲間入りをしても「よく分からないです」とマイペースに答える中山は、超ストイックな一面を持つ。暇さえあれば筋トレを欠かさない“きんに君”のモットーは「筋肉は1日にしてならず」。タンパク質摂取のため、毎日生卵を飲み、ササミを食べる。空腹をつくらないよう、自らおにぎりを握り練習の合間に頬張る。たゆまぬ努力が大記録達成のたまものだった。

 そんな野球少年は入学時から丸刈りを貫く。「楽だから。髪のことを気にするより練習がしたい。本塁打を狙って、あとの試合を全部勝ちたい」。ホームランアーチストのスイッチが入った。【和田美保】

 ◆中山翔太(なかやま・しょうた)1996年(平8)9月22日生まれ、大阪府出身。小学1年で野球を始め、本庄中では東成シニアに所属。履正社では2年秋からベンチ入りし、14年春のセンバツは4番で準優勝。夏はレギュラーを外れ、大阪府大会準決勝で、大阪桐蔭に敗れた。法大では2年春からベンチ入り。今季は26打数11安打、4割2分3厘(リーグ2位)。バットは34インチ、約900グラムを使用。185センチ、95キロ。右投げ右打ち。