阪神のキャプテン福留が執念のプレーでナインを鼓舞した。鬼の形相を見せたのは両チーム無得点の6回だった。1死二塁の先制機。飯塚が投げた2球目だ。速球は顔付近へ。インハイの球をよけると、マウンドに向かってにらみつけた。しつこく内角を突かれるたびに、刺すような視線を送る。それでも、冷静に四球を選んで、2点奪取につなげた。

 全身から気迫があふれていた。クラブハウスへ引き揚げる際、プレーについて問われたが「それはそれでね。また、明日じゃないですか」とサラリ。同僚を背中で引っ張り、苦戦しながらも連敗ストップに貢献した。プレーボール直後から集中力にあふれていた。1回2死一塁では、ライナーで中越え二塁打。4回には守備でも魅了した。ソトの打球が左翼ポール際に舞う。ジャンプして好捕すると、そのままフェンスに激突。捕球後も、左脇腹を押さえながら、必死に耐えた。

 身を粉にして戦う41歳の姿に、金本監督も深くうなずく。「連敗中ですから、何かをグラウンドで出してくれないと。『何とかしよう』とか『自分が引っ張るんだ』とか、そういうのをみんなが出してくると、いい方向に向かっていくと思う」。ワンプレーもおろそかにしないベテランが、率先垂範して接戦の勝利につなげた。今日16日も泥臭く白星をつかみにいく。【酒井俊作】