ロッテ井口資仁監督(43)が、チームの勝利を最優先する“非情采配”で5年ぶりのソフトバンク戦3連勝に導いた。プロ初先発の土肥星也投手(22)を、初勝利の権利まであと1死と迫った2点リードの5回2死二塁の場面で降板させた。2番手益田がピンチを切り抜けると、奮起した打線も11安打で8点を奪って快勝。本拠地では12年以来6年ぶりのソフトバンク戦3連勝で、交流戦開幕前までの5割復帰も見えてきた。

 2年目左腕の初先発初勝利の権利まであと1死となった場面で、井口監督は一塁側ベンチから歩み出た。柳田の犠飛で2点差に迫られた直後の5回2死二塁、打席に4番デスパイネを迎えた。

 「ホームランを打たれたら同点という場面。チームの勝利のため。追い付かれるとホークスも手ごわいですし、断ち切ろうと。球威も落ちてきましたし、切れもなくなっていた」

 昨季中継ぎで18試合投げた土肥の先発は、井口監督自ら「ウルトラC」と表現した勝負手だった。2軍戦でも今季最長は4回80球で、1軍初先発は4~5回をメドにしていた。チームの勝利を最優先し、デスパイネとの力関係、ソフトバンク中継ぎ陣の力などを総合的に判断した。

 もちろん厳しさだけではない。6安打2失点の内容を評価し、降板直後にはベンチで「来週また投げるぞと伝えました」と先発ローテーション残留を明言した。土肥は「今はあそこで代わるのが僕の実力。信頼を勝ち取って、次はしっかりと投げられるようにしたい」と受け止めた。

 土肥の降板後は、打線も奮起。直後の5回には角中の2点適時二塁打などで3点を奪って突き放した。11安打で8点を奪って大勝。チームの勝利を最優先しながら「アメ」と「ムチ」を使い分ける采配で、5年ぶりのソフトバンク戦3連勝を飾った。井口監督は「打線も足を絡めてつないで、しっかりと打ってくれた。交流戦の前に貯金をつくれたら」と締めた。【前田祐輔】