交流戦も任せいや! 広島鈴木誠也外野手(23)が今季初の猛打賞を記録した。3回には豪快な6号2ラン。つなぎの打撃も見せた。さらに好判断、好走塁でダイヤモンドを疾走。チームは敗れたものの、躍動感あふれるプレーで右足首負傷からの完全復活を予感させた。29日開幕の「日本生命セ・パ交流戦」へ向けて、頼れる若き主砲の状態は上向いている。

 3安打3打点も、鈴木の表情は厳しかった。1回に先制点を呼び込む遊ゴロ。3回は豪快に中堅に1発を見舞った。7回には三塁強襲の当たりで二塁を陥れ、続く新井の一ゴロをビシエドがそらした間に一気に本塁を狙い、最後は左手で捕手のタッチをかいくぐった。だが、チームは終盤に大量失点。9回に先頭で3本目の安打となる左前打を放つも、得点にはつながらなかった。

 「(本塁打は)どうでもいいです。負けているので。勝たないと意味がない。(9回は)負けていたので何とかつなごうと思った」

 打撃の感覚は決して良くはない。23日巨人戦まで4試合連続無安打だった。体のコンディションも日々変化する中、打撃フォームを模索しながら、その日のベストを尽くす。今は両足の幅を狭め、直立に近い構えから始動する形を試している。3試合連続複数安打、今季初の猛打賞を復調の兆しととらえたい。

 昨季8月に右足首を負傷し、今季開幕直後には下半身の張りで選手登録を抹消された。そんな不安を一蹴するような7回の激走だった。「(玉木三塁コーチが)回していたので思い切っていきました」。二塁から1度もスピードを緩めず、最後もスピードに乗ったスライディングだった。再昇格を目指していた4月に「僕は打てばいいだけの選手じゃない。守りも走塁もちゃんとしないといけない。そこまでの状態に戻さなければ」と話していた状態に近づきつつある。

 緒方監督は鈴木の動きに「だんだん動けている。見たら分かるでしょ。体の切れが出てくれば、打撃の状態も上がってくるでしょう」。29日から交流戦が始まる。指揮官が「ペナントレースを左右する」と断言する大事な戦いを前に、若き主砲も徐々に調子を上げている。【前原淳】