阪神タイガースの親会社、阪急阪神ホールディングス(HD)の定時株主総会が13日、大阪市北区の梅田芸術劇場で行われ、若手の伸び悩みや期待外れの外国人など、苦戦するチームに質問が集中して批判の的になった。角和夫代表取締役会長グループCEO(69)が「結果を出してもらわないとしょうがないと思います」と就任後初めてチームに要望を出すなど、会場は緊迫感に包まれた。

 阪急阪神HDの株主総会は、冒頭から3年目の金本阪神に矛先が向けられた。甲子園の右翼席で観戦するという男性の株主から「ホームラン打てない、打率悪い、得点低い。この2年なにをやってきたのか」と厳しい追及を受けた。

 「我々は若手が活躍すると応援歌ができて喜ぶが、急に打てなくなる」と若虎の伸び悩みも指摘。「新外国人を高いお金を払って連れてきても打てない。それが何年も続いている」と、推定年俸3億4000万円で2軍落ちしているロサリオらにも意見が及んだ。

 阪神電鉄・百北幸司取締役(スポーツ・エンターテインメント事業本部長)が「監督、コーチは信念を持って指導しています。選手も精いっぱい、強い気持ちで臨んでいます」などと理解を求めた。だが会場の雰囲気が張り詰めたのは、グループトップがチームの話題に割って入った瞬間だ。愛知県内からきた株主が「ずっと外国人で失敗しているから自虐本を出したらいい」と皮肉った後、「コーチを考えてほしい」と要望した。

 議長の角会長が株主の意図をくむように「いいコーチを、どういうんですかね。採用ができていないというか、よく分かりませんが…」と応じた。そして百北取締役が「監督、コーチに信頼をもって、指導、指揮、さい配を任せています」と述べた直後だった。角会長が「結果を出してもらわないとしょうがないと思います。タイガースには頑張ってほしい」と発言した。

 角会長が阪神球団に関して具体的に言及するのは異例で、結果を求めたのは初めてのことだった。株主のフラストレーションに応える形で、チームにゲキを飛ばしたといえる。

 80歳の株主が「いつ優勝してくれるんやろ。優勝しないのは経営者の責任」と問うなど、2時間22分の株主総会で質問者は17人34件、うち7人が阪神球団、甲子園球場に関する内容だった。げんなりした株主から「もうタイガースの質問はやめてください。阪神ファンだけでやってください」との声も上がるほど、熱い思いが飛び交った。

 最後に阪神電鉄・藤原崇起会長(阪神球団オーナー代行)は「タイガースの今後については真剣に考えていかなければいけない。監督、選手、全員を鼓舞してやっていきます」と約束。熱い思いを受け止め、襟を正す1日となった。【寺尾博和】