球界の「継続は力」に潜入する。4月23日、連続2215試合出場の日本記録を持つ衣笠祥雄氏が死去。5月29日には、阪神鳥谷敬内野手(36)の記録が同2位の1939試合でストップした。続けることの偉大さがフォーカスされる今、歩みを止めない“鉄人”たちに思いを聞いた。

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 日本野球機構(NPB)で山本勉記録員(53)は、現役最多の1213試合(17日現在)に出場している。記録員は安打か失策かなどを判断し、公式スコアをつける仕事。判断次第で「選手の給料に関わる」という重圧がかかる。「記録員に答えはない。謙遜ではなく、30年目が正しくて5年目が正しくない、ということはない」。経験を積んでも、難しさはつきまとう。

 安打にするかどうかは、打球の強さ、守備力、足の速さなど多くの条件を瞬時に総合して判断する必要がある。球団が判断に異議がある場合、再検討を要望できる。今年も4月21日の巨人坂本勇の打球が後日、失策から安打に変更された。NPBがリプレーで検証するのだが、山本氏は1213試合で1度も判断が覆った経験がない。

 4年間2軍戦で修業を積み、横浜進藤がサヨナラ満塁弾を放った93年4月16日に初出場した。今年で入局30年目の節目だが「1試合も体調を崩したことはない」。30歳前から毎日約1時間のウオーキングで体調管理し、プロ野球の歴史を紡いでいる。【斎藤直樹】

 ◆山本勉(やまもと・つとむ)1964年(昭39)10月13日、宇和島市生まれ。宇和島東高では捕手、マネジャー。アイシン精機に6年間勤務し、高校、大学野球の審判員を務める。スポーツ紙で記録員一般公募の記事を読み、89年3月にセ・リーグ入局。日本シリーズ出場3度、オールスター出場3度。