楽天立花陽三球団社長(47)は6日、ヤクルトや米大リーグ・ドジャースなどで活躍した石井一久氏(44)にGM(ゼネラルマネジャー)のポストを打診していると明かした。今年1月に副会長だった星野仙一氏が死去。チームは開幕から低迷し、梨田昌孝前監督(64)が6月16日に辞任。平石洋介監督代行(38)が指揮を執っているが、立て直しに向けて石井氏に白羽の矢を立てた。交渉は順調な様子で、早ければ9月にも石井GMが誕生する。

 楽天立花球団社長は、報道陣に対して「事実です。オファーさせてもらっています」と説明し、石井氏に対してGMのポストを打診していることを認めた。同社長は「前向きに進んでいるという理解です。まだ正式に決まっていないですし、先方も仕事がある。しっかりと決まってからみなさんには、アナウンスします」。就任について明言こそ避けたが、早ければ9月にも石井GMが誕生するようだ。

 人選について、同社長は「まだその辺は」と理由を明かさなかったが、過去には監督候補の1人として名前が挙がったほど、石井氏への評価は高い。日米通算182勝をマークした同氏の豊富な経験は言うまでもなく、国内に限らず、米野球界にも広い人脈を持つパイプに期待がかかる。さらには、球団が持つ弾道測定器「トラックマン」の分析にたけ、現役引退後、評論家として独自の視点から展開してきた野球理論には定評がある。

 早期からGM職に就任することで現状の戦力を把握、分析し、来季に向けた課題を挙げ、戦力構想の準備に時間を割く。昨季は5年ぶりにCS進出を果たしたチームだが、今季は開幕から最下位に低迷。「再建」は不可欠となっている。今秋ドラフト会議、外国人獲得など、戦力の見直しを含めた補強について、関わっていくとみられる。

 今年1月に星野氏(享年70)が亡くなった。同社長は「副会長というポストがいなくなり、我々も模索していた」と、統括する人材を探していたと説明した。シーズン途中に梨田前監督が辞任し、平石監督代行が指揮を執っている現状。チーム再建のためにも石井GMの力に託す。

 ◆石井一久(いしい・かずひさ)1973年(昭48)9月9日、千葉県生まれ。東京学館浦安から91年ドラフト1位でヤクルト入団。ポスティングシステムで02年ドジャース入団。05年にメッツへ移籍し、06年ヤクルト復帰。07年オフにFAで西武移籍。13年引退。日米通算524試合で182勝137敗1セーブ、防御率3・80。主な記録は97年9月2日横浜戦でノーヒットノーラン達成。98年のシーズン奪三振率11・05はプロ野球記録。通算1500奪三振をプロ野球最速で達成した。日本一を5度経験。家族はフリーアナウンサーの彩子夫人と1男。

 ◆GM(ゼネラルマネジャー) 監督、コーチ、選手らの人事権を持つ、選手獲得やトレードなどチームづくりの最高責任者。日本球界では、95年にロッテが広岡達朗氏を初めて起用。中村勝広氏はオリックスと阪神、高田繁氏は日本ハムとDeNAの2球団で就任。他には三村敏之氏(楽天)山田正雄氏(日本ハム)落合博満氏(中日)鹿取義隆氏(巨人)らプロ野球経験者を起用する球団が多い。球界OB以外では清武英利氏、原沢敦氏、堤辰佳氏(いずれも巨人)吉村浩氏(日本ハム)ら。現在就任しているのは高田氏(DeNA)鹿取氏(巨人)吉村氏(日本ハム)の3人。