試合終了の瞬間に思ったのは、いつもと同じ「勝てて良かった」だった。その上で、西武源田壮亮内野手(25)は「偉大な方を抜けた。記録もうれしいです」と付け加えた。新人開幕から221試合連続フルイニング出場。前日に並んだ巨人長嶋茂雄(現終身名誉監督)を抜き、プロ野球新記録を樹立した。

 “節目”で人生初の1試合5安打。「自分がびっくり。もう、ないと思います」と正直だった。流れを呼んだのは、3回先頭の一振りだ。ロッテ有吉から初回に続く内野安打を放ち、この回6得点の先陣を切った。打順が一巡し、2死一、三塁で左前適時打。5回に右前適時打を放ち、8回に三たび内野安打で締めた。

 持ち味を出している。25盗塁はリーグトップタイ。3本上乗せした内野安打はリーグトップ19本だ。内野安打に、源田は「ただのヒットです」と特別視はないが、辻監督は「足が速いから左(打ち)は得。でも、当て逃げするタイプではない。ちゃんと振るから良いところに飛ぶ」と、打力と走力の融合と評価した。

 決断があった。1年目の昨季は夏場の体重維持に苦労。寮で就寝前に無理にでも卵かけご飯をかき込み、何とか73キロを維持した。2年目を前に、周りに聞いて回った。体重を増やした方がいいか、と。結論は「急に増やすとスピードがなくなる。自然に任せた方がいい」。今年は腹が空いたら食べている。やや多めを心掛け、75キロを保つ。

 貯金15の首位で折り返した。「試合終了までフィールドにいるのが一番。そうなるよう、自分の仕事を」と誓った。記録を更新し続ける先に、10年ぶりの優勝がある。【古川真弥】