「喜門」のはずの横浜でも負の流れを変えられなかった。今季5戦5勝と好相性の敵地に乗り込んだが、またも弱点を露呈してしまった。序盤に頼みの先発秋山が大量失点すると、ズルズルと押し切られた。金本監督も声を絞り出しながら「う~ん、ちょっと序盤に打ち込まれる試合が増えているな」と嘆くしかない。

 打線が相変わらず振るわなかった。1回に北條のアーチで幸先よく1点を先制したが、2回以降はDeNA先発東に沈黙した。チェンジアップ、カーブ、スライダーを織り交ぜられ、打ち気をそらされる。阪神の打者が鋭く強く振り切る姿は、ほとんど見られなかった。反撃の糸口を見いだせず、その間に投手陣が失点を重ねるなど投打の歯車がかみ合わない。指揮官も渋い表情で「まあ(狙い球として)狙うか捨てるかやな。次、ちゃんと指示が出るんじゃないか。狙うか、捨てるか…」と振り返った。

 皮肉にも金本監督が前半戦総括で指摘した課題が浮き彫りになった。「守備面でのミスからの失点と打つ方ですかね。得点力不足というのが一番。上げていかないことには、どこにも打開策はない」。6回は三塁陽川の悪送球が適時失策になり、さらに傷口が広がる。8回に2点を刻む反撃を見せたが、すでに大勢が決したあとだった。

 前半戦終盤に奮闘した陽川も3試合連続無安打と下降線。今日21日には骨折離脱していた糸井が戦列に復帰するが4番を託す方向だ。金本監督は「打てなくなるだろうというのは想定の範囲。そこで彼がどうするかを、いま見ている。どういう工夫を見せるのか。例えばエラーしたあとの打席とかね。切り替えられるかどうか」と話した。

 打てず、守れず大敗…。セ・リーグで唯一、後半戦の白星がなく、今季最長タイの5連敗に延びた。7月は、4日中日戦で勝ったのが最後。16日から巨人3連戦3連敗を喫した悪循環を断てず、借金はついに今季最多の7に膨れ上がった。金本阪神3年目。失敗し、屈辱を味わって危機に陥っても、苦境をはね返す強さが試される。【酒井俊作】