西武が2試合連続で「延長10回」サヨナラ勝ちを決めた。菊池雄星投手(27)が、2段モーションを封印し、9回を7安打1失点の力投。左腕の粘り強い投球に延長10回、代打で出た森友哉捕手(22)が右中間を破るサヨナラ二塁打で応えた。チームは4連勝で、貯金は今季最多タイの16。2位日本ハムとのゲーム差を3に広げた獅子が、再び勢いに乗ってきた。

 勝つために、こだわりは捨てた。菊池のフォームに、右足を1度上げた後に再度上げる、段のついた動きはなかった。走者を背負いながらも粘り、9回を1失点。「慣れるまでは自分と闘っていましたが、4回くらいからはバッターと戦える状態になった。次につながる投球になったと思う」と力強くうなずいた。

 前回楽天戦は6回6失点。好投とKOを繰り返すふがいなさを猛省する中で、捕手炭谷からの言葉で気付かされた。

 炭谷 今日の雄星で一番よかったのは走者一塁で、盗塁を警戒しなくていい場面での球。2段モーションを意識し過ぎじゃないか?

 昨季、軸足にしっかり体重を乗せようとする過程で結果的にたどり着いたのが、2段モーション。映像を見返した左腕は「去年のリズムと比べると、大きな2段になっていた。下半身が使えていなくて、タイミングも合っていない」。昨年の残像を求めすぎ、2段モーションがスタート地点となっていた。下半身を使う基本を取り戻すため、昨シーズンも不調時に行っていた股割り状態からのネットスローを実施。原点回帰で下した決断が、2段モーション封印だった。

 求められる仕事はチームを勝たせること。「1点勝負の中でいかに結果を出せるか。それが出来ていなかった」。昨年も反則投球の指摘から、シーズン中にフォーム修正を余儀なくされた。その経験も引き出しにした。「試行錯誤してきたし、そこまで抵抗はなかった」と力を込めた。

 志願した9回、最後の打者宮崎を三ゴロに仕留めると、思い切り左こぶしを振り下ろした。自身に勝ち星はつかなかったが、チームは2夜連続のサヨナラ勝ち。「この立場になって、それ(自分の白星)にこだわっていては。チームが勝てればいい」。次回は中7日で8月3日の日本ハム戦。今季最多の127球を必ず生かす。【佐竹実】