広島新井貴浩内野手(41)が5日、今季限りでの現役引退を発表した。通算2000安打を達成した成績のみならず、明るく、分け隔てない性格で、チームメートにも大きな影響を与えている。チーム最年長は試合中にベンチで大声を張り上げ、後輩のプレーに全力で喜びを表現。自然と一体感が生まれる、まれな存在でもある。

恒例となっている後輩いじりは、今季も至るところで見られた。故障が回復して5月11日に1軍合流すると、練習前の円陣で1発。「新聞で野間選手の高打率を見るたびに下痢が止まりません。よろしくお願いします」と成長株の野間をいじり、笑いを誘った。その試合はマツダスタジアム10年目で初となる1試合5本塁打の大勝。菊池は「台風の目の新井さんが帰ってきたので、何か起こると思っていた」と驚いた。

日本代表として五輪、WBCも経験。球界全体に幅広い人脈がある。08年オフには、ヤクルト宮本慎也(現ヘッドコーチ)から「律義さと実直さがあるから」と、7代目のプロ野球選手会会長を託された。今年1月には、14年連続となるオフの護摩行に臨んだ。燃え盛る炎の前で読経を続け「毎年だけど、最高の1年になるようにしたい」と語っていた。