あぁ、単独最下位…。阪神が緊急事態に陥った。15日のヤクルト戦(甲子園)は投打の歯車がかみ合わず、3連敗で今季最多の借金10に達した。主力の福留、北條を欠き、打線も機能しない。8月3日以来の単独最下位に転落した。甲子園では今季借金14。ワーストの78年17に迫っており、窮状は深刻だ。
まるでVTRを見ているような貧打ぶりだった。阪神打線の窮状が、暗い影を落とした。下位の中日、DeNAが勝ち、ついに8月3日以来、約1カ月半ぶりの単独最下位に転がり落ちた。反攻を期すはずの9月に厳しい現実を突きつけられ、金本監督は「そうなん? 残り試合あるから。頑張ります」と振り返った。
ヤクルトのサブマリン山中にリベンジするはずが、返り討ちに遭った。1回に大山の遊ゴロで1点を先制するのが精いっぱい。2回以降は浮き上がってくる速球を何度も打ち損じる。フライアウト、フライアウト…。速球でも120キロ台。間合いをはかるのが難しいのか。指揮官も「どうかなあ…。ちょっと分からんな」と首をひねるしかない。
2週間ほど前とまったく同じ光景だった。8月30日も甲子園が舞台だった。下手投げ右腕に惑わされ、8回にようやく1点を奪うのが精いっぱい。再戦でも拙攻を繰り返し、流れを引き寄せられない。悪循環の象徴は5回の攻撃だ。先頭伊藤隼が中前打で出塁し、梅野の犠打で1死二塁。打者は投手の青柳だ。そのまま打席に立たせて遊ゴロ…。得点を刻めず、好機を逃した。苦渋のタクトだった。
金本監督 ちょっとリリーフが、頭数がどうしても足りなかったから。
7連戦の5戦目。6連戦、13連戦のハード日程も待ち構え、救援陣を酷使できない事情がある。指揮官は先読みして采配を振ったが結果的に攻めきれなかった。投打の歯車がかみ合わない苦境を物語っていた。
試合終盤は皮肉な展開になった。5点差をつけられた7回以降は鳥谷や陽川の適時打などで3点を奪う反撃を見せたが、時すでに遅し。指揮官も「点が入ったから、その後…。(7回表は)ポテンヒット2本やったからな。ちょっと不運なところも正直あった」ともどかしい。
3連敗で借金は今季初めて2桁の10に達した。前日14日のヤクルト戦で北條が左肩亜脱臼で離脱。福留も11日中日戦で右太ももの張りを訴え、4戦欠場。主力2人を欠いた緊急オーダーは破壊力不足だった。今季は甲子園で大敗し、クライマックスシリーズ進出どころか、01年以来、17年ぶり最下位の危機だ。03年の「9・15」優勝記念日が泣いていた。【酒井俊作】
▼阪神の今季の単独最下位は、8月3日以来43日ぶり。金本監督就任後、9月以降の6位となると、16年9月18日以来2年ぶり。同年は最終4位に終わり、CS進出を逃している。なお仮にこのまま最下位でシーズンを終えれば、野村克也監督時代の01年以来、17年ぶりの屈辱となる。
▼阪神は今季甲子園での試合で19勝33敗1分け、借金14。甲子園でシーズン14以上の借金を抱えた過去のケースは、ワーストの78年借金17(19勝36敗3分け)、それに次ぐ95年借金15(23勝38敗)だけ。なお両年とも阪神は、シーズンを最下位で終えている。