ヤクルト近藤一樹投手(35)が、球団新記録となる40ホールドポイント(HP)を達成した。6-3で迎えた阪神戦の8回に3番手で登板し、1回1失点。10年松岡の球団記録に並ぶ34ホールド目を獲得し、16年ルーキが持つHPの球団記録を塗り替えた。

近藤のプロ生活を表すような節目の登板になった。簡単に1死を奪った後、3連打で1失点。直後に死球で塁上が全部埋まった。

一打同点のシビアな状況。目を背けることなく、右腕を振った。後続を料理し最少失点で切り抜けグラブを控えめにたたくと、ベンチ前で足を止めた。いつものように野手全員が戻るのを待って感謝のハイタッチ。4連勝に貢献し、4月9日以来となる今季最多タイの貯金3をもたらしたが「大ピンチでヒヤヒヤさせてしまった。最悪ですね」と苦笑いした。

プロ17年目。オリックス時代には4年続けて右肘を手術し育成選手も経験。トレード移籍でヤクルトに加わった。苦難の連続に思えるが、全てをプラスにとらえてきた。故障中には効果的なリハビリ法があると聞けば足を運んだ。「体験して、話をして、チョイスして、残ったのを継続してやる」。ピンチをチャンスに変える-。その繰り返しがタフネス右腕の礎にある。

35歳で手にした球団新記録にも「僕1人の数字じゃない」と首を振った。「場面をつくってくれるチームメート、投げさせてくれたベンチ。チームの数字と思っています。周りの人たちに支えてもらって今がある」。燕のブルペンには頼もしいセットアッパーが控えている。【浜本卓也】

◆ホールド(H) 勝敗、セーブのつかない救援投手が、セーブの条件を満たす状況、または同点の状況で登板し、1死以上のアウトを取り、リード(または同点)を保った場合に与えられる。ホールド数に救援勝利数を加えた数がホールドポイント(HP)。05年から両リーグで採用され、シーズン最多は10年浅尾(中日)が記録した47H、59HP。