真っ向勝負でねじ伏せた。DeNA平良拳太郎投手(23)が巨人打線を7回途中1失点に抑え、古巣から初勝利。菅野を相手に堂々と渡り合い、「菅野さんは本当にすごい投手。先に点を取られたら向こうのペースになる。とにかく飛ばして失点しないように。勝って成長した姿を見せられたらいいなと思っていた。本当にうれしい」と笑った。

反省を力に変えた。巨人戦初登板だった8月21日は6回4失点で負け投手。「前回は自分の中で逃げてしまっていた」。打たれることを恐れて最初からかわしにいくのではなく、まず「思い切り腕を振って真っすぐで押す」。覚悟通り、5回は岡本、阿部、亀井に臆せず直球を投げ込み3者連続空振り三振。ここまでの先発9戦で4度、イニング途中で降板していた鬼門の5回。最高の形で乗り切り、チームを勢いづけた。

16年オフに山口俊のFA移籍による人的補償でDeNA入り。胸に去来する思いがあった。「もっと内海さんにいろんなことを聞いておけばよかった」。恩師と慕う巨人内海。制球力を上げるために「相手の胸の右なのか左なのか。そこまで意識して投げろ」と助言されたキャッチボールは今も続ける。一方で、思わぬ形での“独り立ち”が自分で考え、行動する土台ともなった。新天地ではトルネード投法を封印。直球の強さを求め、この日の恩返しにつなげた。

チームを5位浮上に導き、3位まで1・5ゲーム差に詰めた。「CS争いの中で、巨人は絶対に勝たないといけない相手だった」と力を込めた沖縄・北山高出身の右腕はまだ発展途上。全力で腕を振る。【佐竹実】