いつもとは違う、安室奈美恵の大ヒットナンバー「Hero」をバックに、ロッテ福浦がゆっくりと打席に向かった。2回無死二塁、楽天岸に2ストライクと追い込まれた直後、内角高めの143キロ直球を振り抜く。打球は右翼線に落ちる先制適時打になった。「タイムリーになったのはたまたま。何とか進塁打、右打ちをしようと思っていたので、それがいいところに飛んでくれた」と言った。

25年間で積み重ねた安打は1997本となり、大台までついに残り3本に迫った。「福浦安打製造所創業25年祭」と銘打たれた試合。3連休の本拠地には、2万9879人のファンが集結した。打席ごとに「フクウラコール」のボルテージが上がる中、2打席目以降は無安打に終わった。「何とかもう1本打って、チームが勝てれば良かったけど、そうはなかなか甘くない」と受け止めた。

2歳年下のアーティストが引退するメモリアルデーに登場曲を変更した。ファンを喜ばせる演出の中、敗れはしたが“マジック3”までたどり着いた。17日も、井口監督は「右ピッチャーですし、体調を見ながら」と先発起用する方針。その時は、確実に近づいている。【前田祐輔】