ソフトバンクが終盤に突破口を開き、2連勝を飾った。8回に5番上林誠知外野手(23)が三塁打でチャンスを作ると、ジュリスベル・グラシアル内野手(32)が決勝のタイムリー二塁打を放った。柳田、今宮を負傷で欠く中、総力戦で接戦を制した。西武は優勝へのマジックを「9」としたが、まだあきらめない。

上林のバットが勝利への扉をこじ開けた。0-0で迎えた8回。先頭打者で得意の低め直球を打ち、左中間を真っ二つに破った。迷わず二塁を蹴った。絶好機をつくり、続くグラシアルの先制打を呼び込んだ。「チームの状況も追い込まれているというか後がない。必死にやっています」。12球団トップとなる今季12本目の三塁打で流れをつかみ、この回3点を奪った。

上林は5回にも二塁打。昨季は打率1割台と悩んだ9月だったが、今季は月間4割1分3厘と好調だ。シーズン最終盤に柳田、今宮と主力を欠く状況。前日18日からは5番に入り、チームを支えている。「ギーさん(柳田)がいないのは痛い。今宮さんもそう。でもカバーできる選手はそろっている。もう1度、力を合わせてやっていくだけです」と頼もしかった。

上林の言葉どおり、チームは総力を結集した。この日、敵地には1軍登録の最大人数28人を大きく上回る32人が集結していた。捕手の栗原を登録抹消した関係で、緊急時に捕手もできる城所も呼んでいた。首脳陣は塚田と城所の入れ替えを考えていたが、塚田は脳振とう特例措置の柳田の代替選手。原則として柳田が復帰した場合の再入れ替えが条件だった。球団とNPB側との間でルール確認がうまくいっておらず、城所の登録は見送られた。捕手は2人しかいなかったが、8回1死二塁では甲斐に代打明石を送った。工藤監督は「勝負とは思っていましたが、あそこで打つのは難しい。よく決めてくれた」とたたえた。勝負手で大きな3点目の適時打を生んだ。

2連勝で西武のマジック減少を2日連続で最小限に抑えた。指揮官は「ぼくらは勝っていくしかない。みんなを信じて、これからも戦っていきます」と鋭い眼光で話した。リーグ連覇の夢を信じ、最後まで食らいつくだけだ。【山本大地】