阪神が19日のヤクルト戦(神宮)に完敗。13年連続のV逸が決まった。この日は先発岩貞祐太投手(27)が初回にいきなり6失点するなど炎上。粘りを見せた打線も中盤以降は継投にかわされた。金本知憲監督(50)にとっては就任3年目でもっとも手応えのあるシーズンのはずが、誤算続きで現在最下位に沈む。ただ、クライマックスシリーズ(CS)進出争いは大混戦で、3位まで1・5ゲーム差。リーグ最多の残り19試合で逆襲を狙う。

容赦なき無数の怒声が金本監督の背中に突き刺さった。「コラッ!! カネモトーッ!!」。2位ヤクルトに完敗だった。肩を落として神宮の三塁側ファウルゾーンを歩いた。

1回に6失点を喫した先発岩貞の背信がすべてだった。「(カウント)0-2から打たれて2ランをドーンと…。次もそうでしょ。0-2から(大引に)ヒットを打たれて、3ランを。そういうところですよね」と苦言を呈した指揮官。今季124試合目で優勝の可能性が完全に消滅したことには、悔しさを押し殺しながら「あぁ、そう…」と話すのが精いっぱいだった。

金本阪神3年目は誤算が重なった。2月の沖縄・宜野座キャンプ最終日、金本監督は「3年間のなかのチームでは、一番強い」と胸を張ったが思惑は外れた。キャンプで圧倒的な飛距離を見せた4番ロサリオは変化球多投の日本野球に適応できず、肝心の9月も2軍でプレーする。75試合出場で本塁打は8本にとどまる。中谷や高山ら若手が伸び悩んだ。打線は破壊力を欠き、41歳福留と37歳糸井のベテラン頼みの「いびつさ」が際立った。

先発陣も定まらない。エース格として期待された藤浪は今季も本来の姿を示せず、2軍降格を味わった。16日DeNA戦(横浜)で今季3勝目を挙げたが、剛腕の不振が戦いに暗い影を落とす。大勝負の終盤戦にメッセンジャーと秋山を欠き、先発ローテーションもやりくりが厳しい状況だ。

今季は金本監督にとって3年契約1年目。若手強化は道半ばだ。球団首脳が「既定路線です」と話すように、来年も就任4年目の指揮を託す方針だ。今日20日からの広島3連戦中には拡大編成会議を開き、今季の戦力を検証し、来季の補強方針を立てる。5位中日に0・5ゲーム差の最下位だが、3位巨人と1・5ゲーム差。金本監督は言う。「また明日あるんだから。明日、頑張っていくしかない」。残り19戦。クライマックスシリーズ進出を目指して死力を尽くすしかない。【酒井俊作】

▼阪神がヤクルトに敗れ、今季の優勝が完全消滅した。阪神が残り19試合を全勝すると75勝67敗1分けの勝率5割2分8厘。首位広島が残り15試合を全敗しても75勝66敗2分けの勝率5割3分2厘で及ばない。阪神のV逸は06年から13年連続。