あんなことも、こんなこともあった。ロッテ福浦和也内野手と、今夏日刊スポーツで「編成部長」を務めた前ロッテ・サブロー氏(42)が“兄弟”対談。1年違いでロッテに入団した先輩、後輩コンビが、笑える話からまじめな話まで赤裸々に振り返り、大台到達を祝った。【取材・構成=鎌田良美、前田祐輔】
「おお、兄弟」。久々に再会した2人は、がっちりと握手をかわした。思い出話は入団当時へさかのぼる。
サブロー 昔話といえば23年前、俺の買ったばっかの黄色いソファに福浦さんが焼きそばひっくり返した。あれ絶対忘れへん。ひと口も食わずに。「UFO」つくってあげたのにやで。
福浦 俺の部屋が厳しい寮長の横でさ。サブは1軍行ったり来たりしてたから、サブがいないとき勝手に使わせてもらってたね。
サブロー 俺の部屋住んでたもんな。でも2000本なんて当時じゃ考えられへんかった。すげえな。
福浦 すごくはねえよ。
サブロー すげえよ。
福浦 昔は一緒にビデオ見たりもしたな。
サブロー 試合前、試合後はビデオルーム集合やった。夜中まで。なかなか帰らんかった。
福浦 見ないと、自分でどうなってるか分かんないもん。感覚とのずれが小さければ、スランプが短くなる可能性はあるよね。
互いのフォームをチェックし、好打者の映像を見る研究会が日課だった。
サブロー 試合前は落合さんとかイチローさんとか見て。ホームラン集とかヒット集とか、1時間も2時間も。あと福浦さんは昔、毎日ものまねしてた。ファームの試合で、今日は(巨人)松井さんでいくわ、今日は(広島)前田さんでいくわって。
福浦 関節が違うからさ。ものまねしても、自分の骨盤の位置とかあるから。結局は自分のスイング。
サブロー でもうまかったよ。いろいろやって、行き着いたのがイチローさんや。それでめっちゃ打ち出した。あのものまねが上達の早道やったと思うんよね。
福浦 イチローさんにはオリックスのとき、直接打ち方を聞いたこともある。胸を見せるなって言われた。ピッチャーに対して。体が開いたようになるから。
サブロー 基本中の基本やん。それを、イチローさんが言うから意味がある。
先輩としての福浦は、とにかく優しかったという。
サブロー 人間的には、常に人に好かれる。何でも包み込んでくれる。そういう人って大体出世しないと思うんやけど、珍しいタイプ。でも野球選手的にはめちゃくちゃストイックやね。特に体鍛えることについては。正月の夜中にマリン行くんやで。
福浦 前は行ってたね。今は禁止になっちゃって。
サブロー 引退するとき、福浦さんにいち早く風呂場で相談した。(11年に)トレードで(巨人へ)出たときも寂しかったやろ?
福浦 寂しかった。すぐ帰ってこいって言ったよな。そしたらすぐ帰ってきてくれた(笑い)。
家に帰れば、2児の父。
福浦 この夏休みは1回だけ一緒に遊びに行った。バッティングセンター。手本? 見せないよ(笑い)。(中2の)長男と(小4の)次男が黙々と打ってた。
サブロー それ、息子も野球やりたいんちゃうん?
福浦 変なプレッシャーかかっちゃうからね。小さいころは一緒にディズニーランドとか行ったけど、だんだん親と出掛けなくなるよね。
話題は現在、そして未来を描く。
サブロー いつか、もう1回2005年のチームつくりたいよな。福浦監督のときに(笑い)。
福浦 あれ最高だね。ほんとに強かった。みんな3割打って、先発ピッチャーはみんな2ケタ勝ってた。
サブロー ファンも喜ばせたいな。福浦さんとまた仕事したい。
福浦 したいね。
やっと届いた、2000安打。
福浦 あれよあれよで来ちゃったね。あ~、癒やされたいなあ。
サブロー ディズニーランド行こや、そんときは。
福浦 イッツアスモールワールドだな(笑い)。
◆05年のロッテ ボビー・バレンタイン監督のもと、レギュラーシーズン2位からプレーオフを制しリーグ優勝。日本シリーズは阪神に4連勝して日本一に上り詰めた。「マリンガン打線」と呼ばれた野手陣は高卒入団の今江、西岡らが台頭。投手は渡辺、清水(現投手コーチ)ら6人2ケタ勝利。「YFK」薮田、藤田、小林(現投手コーチ)のリリーフ陣も活躍した。