広島が球団初3年連続となる9度目のリーグ優勝を決めた。開幕から不安定だった投手陣をエース格で支えたのは、大瀬良大地投手(27)だった。

4戦目まで2勝2敗も、4月29日の阪神戦から7戦7勝と一気に白星を伸ばした。5月は4勝で初の月間MVPも受賞。開幕投手の野村、昨年の最優秀勝率の薮田といった先発陣の不振が続く中で活躍が目立った。

昨オフにはテークバック時の左手を高くする新フォームに改造。元広島の黒田博樹氏の映像を見て参考にした。さらに今年から緩和された2段モーションも追い風になり、投球の軸となる直球の威力がアップ。「ストライクゾーンで勝負できることが大きい」。被本塁打は増えたが、四球と失点の減少につながった。

前半戦で早くも自己最多タイとなる10勝目を挙げ、7月にはオールスターに初出場。9月1日のヤクルト戦では両リーグ最速の15勝目に到達した。シーズン終盤はさすがに疲労が見え隠れするが、先発ローテの柱であり続けた。

シーズン序盤は150キロ前後の直球にスライダー、カットボールが主体。そこからフォーク、カーブの割合を少しずつ増やし、8月からはチェンジアップも加えた。「これまでないデータで配球できている」と投球の幅を広げてきた。

打では丸、鈴木の両輪が引っ張ったが、投ではMVP級の働きだ。現在は勝利数がリーグトップのほか、防御率、勝率の各部門で上位に位置しており、14年新人王以来となるタイトル獲得が射程圏。ポストシーズンでも期待は大きい。