逆転CSへの秘密兵器はセットアッパー才木だ!! 阪神金本知憲監督(50)が25日、右肘痛で離脱した藤川球児投手(38)に代わる必勝リレーの一角として、才木浩人投手(19)の抜てきを決めた。高卒2年目の今季は6勝の大活躍。球威、変化球の質、守備力など総合力を高評価した。3位巨人を2・5ゲーム差で追い、今日26日のDeNA戦から球団最長のラスト14連戦。若い力に命運を託す。

チームの一大事にベンチは素早く手を打った。藤川離脱-。前日24日、必勝継投に欠かせないベテランが右肘痛を訴え、出場選手登録を抹消された。救援投手が足りない。痛恨の緊急事態に陥り、金本監督は配置転換を即決。「球児の代わりは才木」と断言した。実は、24日の巨人戦はベンチで出番を待っていた。サプライズ用兵の裏側には、球団史上最長の14連戦に向かう指揮官の覚悟がにじむ。

「ちょっともう、最後、若い力というかね。勢いをちょっと欲しいなと思ってね。彼もいい経験になる」

逆転でクライマックスシリーズ進出を目指す阪神は14試合を残す。今日26日DeNA戦(甲子園)から運命の14連戦。藤川は今季、50試合に登板して4勝3敗2セーブ防御率2・45の好成績。安定感抜群の救援右腕を長期連戦で欠くのは痛恨の極みだが、手当てを怠らない。7月以降に先発で4勝を稼ぎ、独り立ちした感のある才木をあえてローテーションから外し、指名した。指揮官が期待するのは若さで敵をねじ伏せる「起爆剤」としての役割だ。

「後ろもできるタイプの投手だからね。真っすぐに力があって落ちる球もあって、投内連係もできるし」

高卒2年目の今季、おもに先発として飛躍し、6勝をマーク。ムチのように右腕をしならせ、150キロ超の速球を投げ込む。フォークの落差も鋭い。流れるようなフィールディングも持ち味だ。今季は4試合8回1/3の救援登板を無失点。適性の高さを見込まれ、球児の代役に抜てきされた。香田投手コーチも「経験も彼にはあるし、ロングリリーフも短いイニングでも行ける。球の力もあるし、新しいリリーフの1枚として加わってもらおうということ」と高評価。若々しい投げっぷりで窮地をしのぐ。

勝敗に直結する役回りだけに、投入するタイミングは慎重を期す。金本監督はリードした場面での投入を問われると「いきなりはちょっとね。どうか分からないけど」と説明。最初は精神的負担が少ない状況での起用になりそうだが、右腕にかかる期待は大きい。才木も言う。「必要としてもらっているので、期待に応える投球をしたい」。意気に感じて腕を振る。19歳の勢いで、苦境の虎に風を吹き込みたい。【酒井俊作】