クライマックスシリーズ進出へ、DeNAがついに単独3位に躍り出た。1点を追う7回、乙坂智外野手(24)が守備のミスを取り返す意地の適時打で同点とすると、8回にネフタリ・ソト内野手(29)がこの日2本目のアーチで決勝点をたたき出した。どちらも負けられない阪神との激闘を制し、今日28日、0・5差でCS圏内を争う4位巨人と大一番を迎える。

こみ上げる感情を押し殺した。乙坂は下を向かなかった。1点を追う7回1死一、三塁。右前へ抜ける同点適時打を放ち、一塁で拳を振り下ろした。

「ああいう形になってしまい、出してもらっている以上ベストなプレーをしようと思った。最初はショックだったが、みんなが声をかけてくれて次のプレーに集中できた」

5回の守備で大山の打球をダイビングキャッチをしたが、打球が地面についたとしてヒット判定。左手首をひねりながら、捕球の感触があったからそのまま倒れ込んだ。しかし、打者走者まで生還するランニング2ランで同点とされた。リプレー検証でも覆らなかった判断ミスを挽回した。

悲愴(ひそう)感を漂わせる乙坂を、ラミレス監督はあえて打席に送り、挽回のチャンスを与えた。「桑原に代えようと思ったが、考え直した」。ミスをしたら自分の力で取り返せ。見事にメッセージに応えたが、指揮官は「アンパイア全員が捕っていないというジェスチャーをしていた。それを見てプレーをしないといけない。あれは彼のミスだったと思う」。プロとして、指摘を忘れなかった。

変化を恐れない、甲子園仕様のラミ采配がはまった。打順を組み替え、甲子園で打率が高いソトとロペスを2、3番に置くと、3回にその2人が連弾。8回にはソトが8度目のマルチ弾となる37号勝ち越しソロを放った。8月31日の阪神戦(甲子園)も2人がアーチをかけたが、雨天ノーゲームで記録は消えていた。

まぼろし弾を取り返した2人と4番筒香の3人合計で100発に到達した。チーム175本は、広島を抜きリーグ1位となった。バズーカ打線が機能し、直近11戦で9勝。7月21日以来68日ぶりに、単独3位に浮上した。指揮官は言った。「選手が成熟していること、そしてチームが勢いに乗っていること、この2つが重なっている。いつも言っているが野球は勢い」。今日28日、0・5差で争う4位巨人と直接対決。この勢いはまだまだ止まらない。【栗田成芳】