涙は取っておく。西武松井稼頭央外野手(42)が27日、メットライフドームで引退会見を行った。ユニホーム姿で登場。はっきりした口調で「楽天を退団し今年古巣に。最後の勝負の年と思っていました。(15日に出場選手登録を)抹消され、初めて自分と向き合える時間ができた。そろそろ引退かなと思いました」と切り出した。今季はテクニカルコーチを兼任。今後は未定としたが、鈴木球団本部長は「誰もが認める存在。こちらとしては、お願いしたい」と、来季はコーチ専任の構想を明かした。

日米25年間で2703安打。リーグ優勝、日本一、ワールドシリーズ。人にはない栄光を味わったが「ほとんどが苦しかったり、悔しかったり。少しの喜びを得るために、苦しさがあるのかな」。投手から野手に転向してプロ入り。1年目でスイッチとなり、努力を重ね、「いろんな方との出会い、家族のサポートも」あって、時代を代表する選手となった。

「良い野球人生だった」と穏やかに話したが、「思い残すことはいっぱい。それが引退するということなのかな。当然、やり切ったとは言えない。でも、決断するとはそういうこと」と本音ものぞかせた。心残りのひとつは「ここで生まれ、ここで育ち、ここで引退する。運命」という西武では、まだ日本一になっていないことだ。

松井 日本一となって、最後の花道を飾れるように。僕もその輪にいられるように。最後に、うれし涙をとっておきます。

この日、再登録された。選手として、最後の戦いに臨む。【古川真弥】