阪神が痛い星を落とした。2点を追う5回、大山悠輔内野手(23)がラッキーな11号2点ランニング本塁打を放った。阪神勢の甲子園でのランニング本塁打は88年掛布雅之以来、実に30年ぶり。しかし救援陣が打たれて白星にはつながらなかった。3位DeNAとは3・5ゲーム差に開き、クライマックスシリーズ進出はさらに厳しい状況となってきた。

大山はかまわず走り続けた。2点を追う5回2死一塁。外角カーブをとらえた打球は左中間へ飛んだ。中堅乙坂が飛びつき、マウンドのウィーランドは味方の“ファインプレー”にガッツポーズした。しかし、走る大山は止まらない。ダイレクトキャッチと思い込んだ乙坂は捕球の際にひねった手首をかばう様子でしゃがみこんだ。判定はワンバウンド。気づいた時には遅かった。DeNAラミレス監督のリクエストによるリプレー検証でも、判定は変わらず。思わぬ形でのランニング本塁打で一気に同点に追いついた。

「抜けてくれと思いながら走っていました。僕の位置からは(捕球したかどうか)わかりませんでしたが、プレーが切れていなかったので、諦めずに全力でホームまで走りました」

この激走で、チームとしては19イニングぶりの得点を生み出した。甲子園では88年4月26日大洋戦で掛布が放って以来30年ぶりのランニング本塁打。3本塁打を含む6打数6安打7打点と爆発した16日DeNA戦では、阪神の日本人選手としては82年掛布以来の1イニング2本塁打を放った。同じ三塁を守る大山が、この日またミスタータイガースに1歩近づいた。

プロ初となる「2番」の打順がいきなりはまった。北條が14日ヤクルト戦(甲子園)の守備で左肩を亜脱臼し戦線離脱。その後は代役がはまらず、打線の並びを考えて、強打の大山が抜てきされた。「打順は関係ないので、その時その時でしっかりプレーをするだけです」。言葉の通り、この日は3打数2安打1四球。打率も2割7分4厘まで上昇させた。

9月はこれで3割9分5厘、9本塁打。さらに厳しくなった逆転CSへ、大山のバットにかかる期待はますます膨らむ。【古財稜明】

▼阪神大山が5回にランニング本塁打。6月14日の西武戦で記録したヤクルト青木に次ぎ今季2本目。阪神選手では17年8月1日広島戦(マツダ)の上本以来。甲子園での阪神選手のランニング弾は、88年4月26日大洋戦での掛布以来30年ぶりだ。掛布は5点リードの7回、左中間へ飛球を打ち上げたが、捕球の際に中堅屋鋪と左翼パチョレックが激突して落球。2人が倒れ込んで動かない中、猛然とダイヤモンド1周した。